顕著な事例の1つが、NST新潟総合テレビである。

「日枝氏には毎年、数千万円の役員報酬が支払われています。年2回、新潟名物のへぎ蕎麦を食べに行く“美食会”ぐらいしか目立った活動はありません。当日はプロパーである大橋武紀会長が日枝氏のご機嫌を取っています」(同社関係者)

 NSTの元取締役は小誌にこう打ち明ける。

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「数千万円と言うけど、従業員が少ない割に業績が良いから普通だと思うよ。ただ、日枝さんが新潟に来ることはほとんどないんじゃないか。少なくとも俺が現役だった数年前の段階では、ほとんど見てないよ」

1月の「10時間会見」当日は5つ星ホテルに身を隠していた日枝氏 ©文藝春秋

 2月9日、自宅前で大橋会長を直撃した。

――日枝氏は何の仕事を?

「どのような仕事って取締役ですよ」

――新潟には年2回しか来ていないと聞いている。

「そんなことないと思う」

女性アナを接待要員のように扱ってきた

 日枝氏の実権はグループ内に向けられたものだけではない。日本民間放送連盟の会長も歴任した日枝氏は、他メディアへの影響力も持ち続けている。

「フジは女性アナを他メディアとの懇親会の場に動員し、接待要員のように扱ってきました」

 そう証言するのは、ライブドアPJニュース元編集長の小田光康氏だ。

「2007年1月、フジ系列で放送された情報バラエティ番組『発掘!あるある大事典Ⅱ』で納豆ダイエットの特集をめぐるヤラセが発覚。そんな中、同月29日に京王プラザホテルの4階で日枝会長や村上光一社長(いずれも当時)による定例会見が行われました」

 会見後、隣の宴会場で行われたのが、フジ幹部と記者クラブのメンバーらによる懇親会だった。会場では高級鮨店「久兵衛」の板前がその場で鮨を握り、酒が振る舞われた。

「天ぷらや西洋料理も並び、複数の女性アナが酒や食事をサーブしていました。フジとしては新人アナの紹介を兼ねてという意味合いでしょうけど、こんな豪華な懇親会は他局ではありません」(参加していた記者)

 小田氏が続ける。

「日枝氏も同席した懇親会は約2時間で終了。帰り際、出口にいたスタッフが『京王プラザ』と書かれたお土産袋を手渡していましたが、辞退する記者もいました」