6月12日、“世紀”の米朝首脳会談が突風のごとく終わった。
トランプ米大統領は会談後、「北朝鮮は非核化に向けて大きく前進した」とツイッターに投稿し、会談の成果を自画自賛したが、米メディアは「単なる政治ショーに終わった」(CNN)などと一斉に批判。
韓国では、保守系メディアからは、「あきれて荒唐な米朝会談、このまま行けば北は核保有国になる」(朝鮮日報)、「あまりにも低い水準の合意、非核化の道遠し」(中央日報)と批判の声が上がる一方、進歩・革新派系は「金正恩トランプ、平和の行進始める」(京郷新聞)、「70年の敵対越え平和へ」(ハンギョレ)と会談を評価した。
韓国の人々は「想定内」?
そんな二分するメディアとは裏腹に韓国の人々の反応は、「想定内」という淡々としたものが目立った。トランプ大統領の記者会見の様子をソウル駅のテレビで見ていた男性(50代後半、自営業)は、「やっぱり具体的なことは全然、出てこないねえ。抽象的で、これからやるという、全部、未来形だ」、そう言って苦笑しながらも、こんな言葉で結んだ。
「一気に解決するなんてことはできるわけがないんですよ。
私たちだって同胞とはいえ70年間休戦状態で、異なる社会を歩んできた。少しずつ、自然な展開がいいんです。あれもこれも一気に解決しようとすればどこかで衝突する。もうそんな同じ轍は踏まなくていい」
米朝会談に期待した2つのこととは
韓国で会談前に注目されていたのは大きく2つ。「米朝がCVID(北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)での合意に至るか」と「朝鮮半島の終戦宣言ついて議論されるか」だ。会談の1週間ほど前からは、文在寅大統領が統一地方選挙(13日)の事前投票も済ませ、週末の予定を空白にしてシンガポール入りに備えているという報道がさかんに流れた。