事件の1カ月前、莉緒の希望であるクラブの閉店イベントに父親が連れて行くことになった。午前3時ごろ、父親が莉緒をイベントに連れて行き、母親は自宅で過ごしていた。

 午前7時半ごろ、父親から「莉緒がクラブで知り合った人と意気投合した」と連絡が入った。母親は莉緒が初めて自力で友達を作ることができたと喜んだ。

 その相手が女装愛好家のAさん(62)だった。莉緒はカラオケに誘われ、ラブホテルに入った。性行為の同意はあったというが、Aさんが避妊しないでセックスしようとしたため、莉緒が「約束が違う」と激怒した。その場はうやむやになったが、あとから父親に付き添ってもらってアフターピルを処方してもらった。

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 莉緒は怒ってはいたものの、「Aさんが謝ったら許してあげる」とも発言するようになり、何軒かクラブを回ってAさんを探し出し、事件当日にもう一度会う約束をした。両親はトラブルのあった相手にもう一度会うことに難色を示していたが、莉緒がとても楽しみにしている様子だったので、それ以上は何も言えなかった。

 事件当日、父親は公衆電話からAさんに電話をかけ、莉緒と会わないように頼んだ。だが、「向こうも会いたがっているわけだから」と拒否されたため、それならせめて莉緒が嫌がることはしないでほしいと頼んだ。

事件はホテルで起こった

 事件当日の夜、Aさんはディスコイベントに参加した後に莉緒と合流して、2人でラブホテルに入った。

事件はラブホテルで起こった。写真はイメージ ©getty

 入室早々、全裸になったAさんを浴室に誘導した莉緒は、SMプレイを装ってアイマスクでAさんの視界をふさぎ、両手を後ろ手にして手錠をかけた。そして、ハンディカムを用意した。

「お姉さんが一番、反省しなきゃいけないのは、私との約束を破ったことでしょ」

 言葉と同時に莉緒の殺意が爆ぜた。刃渡り約8.2センチの折り畳みナイフをAさんの背後から右頸部に何度も突き立てた。Aさんは出血性ショックで死亡した。その後、莉緒は用意していたノコギリを使い、約10分でAさんの頭部を切断した。胴体もキャリーケースに詰めようとしたが入らず、入室から3時間後、頭部を黒いビニール袋に入れ、父親の車を呼び出したのだった。

次の記事に続く ラブホテルで62歳男性を殺害…引きこもりの娘→“猟奇殺人犯”になってしまった「両親のその後」(2023年の事件)

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