「すぐにプロデビューしたわけではない」プロ転向後、2年かけて80キロ→100キロまで増量した理由

――プロに転向したのは、いつだったのですか?

山岸 2002年、28歳くらいのときですね。当時、プロになるためには、アジア選手権優勝・世界選手権の決勝進出(6位以内)・日本選手権の優勝という3つの条件のうち、2つをクリアしないといけなかった。

 アメリカへ行ったときはまだ何もクリアしてなかったのですが、日本に帰ってきた年に世界選手権の6位に入って。その翌年にアジア選手権で優勝して、プロ転向の申請をしました。

ADVERTISEMENT

 でも、すぐにプロデビューしたわけではないんです。2年間は準備期間として、プロで闘える身体づくりをしていました。プロ転向時は80キロほどだったんですが、そこから100キロまで増量しましたね。

 

1日のノルマとして、鶏肉1キロ、卵30個を食べていた

――もちろん、脂肪ではなく筋肉を増やさないといけないわけですよね。

山岸 そうです。とにかく食べて、がんがんトレーニングをすることで筋肉を肥大させる。当時は1日のノルマとして、鶏肉1キロ、卵3キロを食べていました。

――卵3キロというと……。

山岸 30個です。すごい量ですよね。鶏肉1キロは、200グラムを5回にわけて食べるので、それほどの量じゃないんですよ。ボディビルダーにとって1日5食は普通ですし。

――卵と鶏肉はどうやって食べていたのですか。

山岸 卵は白身も含めて飲んでました。10個を3回にわけて。鶏肉は油を使わずに焼いて食べていたので、パサパサしていて食べるのがつらかったですね。

 卵も鶏肉も「まずい」と思いながら無理やり食べていたので、身体に良くなかったなと思います。見るだけで吐きそうになるくらいだったので、身体が栄養を吸収しないんですよ。

 結婚してから、妻がいろいろと工夫して料理してくれるようになって、調理方法やおいしく食べることの重要性を実感するようになりました。同じ栄養を摂るなら、おいしいと思って食べたほうが、身体が栄養を吸収してくれるんです。

 

世界的に有名なトレーナー・ミロシュの指導

――ボディビルダーにとっては、トレーニングはもちろん、食事も大事だと。

山岸 プロになってすぐの頃はあまり成績が良くなかったので、世界的に有名なトレーナー、ミロシュ・シャシブに指導してもらうために、2006年にアメリカに行ったんです。

 ミロシュにコーチングしてもらうようになって指摘されたのも、食事のことでした。

 当時は全体的な筋肉量が圧倒的に足りてなかったので、それを改善するために食事に対する考え方や食事のタイミング、トレーニングとの組み合わせ方などをイチから教えてもらいましたね。