「トイレはここを使え」「電話はこれ」カウンティジェイルで目の当たりにしたアメリカの人種問題
――カウンティジェイルはどんなところだったのでしょうか。
山岸 最初に入れられたのは、150人くらいが入れる部屋でした。体育館みたいなところに、2段ベッドがズラーッと並んでいて。
そのあと、黒人の男性が来て、ルールを説明されました。英語はわからなかったけど「トイレはここを使え」「電話はこれ」と言っているのが雰囲気で伝わってきて。
あとでわかったのですが、人種によって収容される部屋が違うんですよ。アジア人は少ないので、私はアフリカ系のグループと一緒になって。裁判所に連れていかれるときも、黒人と一緒でした。
――人種で分けられるんですね。
山岸 そのときまで、アメリカの人種問題の根深さを感じたことがなかったんです。でも、カウンティジェイルは完全に人種で支配されてるんですよ。ヒスパニック、黒人、白人、アジア人でそれぞれルールがあって。ジェイルの中に、社会の縮図があるんですよね。
――英語が話せないなかで、弁護士などはどうしたのでしょう。
山岸 アメリカに住んでいる友だちが、弁護士に電話をしてくれて。その弁護士と最初に面会したときに「20年くらい求刑される」と言われたんです。「これはまずい」と思って。
しかも、その弁護士の対応があまり良くなかったので、500万円くらいかけて、有名な弁護士に代えて、その人に付いてもらいました。
「これはやばい」凶悪犯罪者が集まるスーパーマックスジェイルに移されて…
――逮捕されたあと、ずっとカウンティジェイルにいたのですか?
山岸 いや、カウンティジェイルにいたのは数日でした。そのあと、スーパーマックスジェイルというところに移動させられて。
スーパーマックスジェイルは、ランクの高い囚人が集まっていて、最高レベルの警備体制が敷かれるほど危険なところなんです。そこで60日ほど過ごしました。
スーパーマックスジェイルでは囚人のランクがあって、500番台、600番台、700番台……と数が上がるにつれて凶悪犯罪者が集まっているんですよ。そこで最初、700番台に割り振られて。
700番台の囚人が集まっている部屋に入った瞬間に「これはやばい」と思いました。見るからに危険な感じの人たちが集まっていた。
――なぜ山岸さんは凶悪犯だと見なされたのですか?
山岸 持っていたステロイドの個数が多かったので、起訴された数も多かったんです。

