「お尻の穴から男性器の裏まで、全部見られました」服を脱がされて、ボディチェックされた理由
――それで、700番台に割り振られてしまったと。
山岸 割り振られた部屋に入ったらいきなり、囚人同士が殴り合いの大ゲンカを始めたんです。刑務官がバーッと部屋に入ってきて「全員、伏せろ!」と言われて。そのまま全員、大きな部屋に連れていかれて、服を全部脱がされて、ボディチェックをされました。
武器を持っていないかどうか確認するために、お尻の穴から男性器の裏まで、全部見られました。口の中とかも見られるんです。
そのときに、刑務官が「すごい身体をしているな。お前はボディビルダーだろ。知っているぞ」と言われて。その人のおかげで、セキュリティレベルの低い500番台の部屋に移動できたんです。
――スーパーマックスジェイルには、どんな人たちが収監されているのですか。
山岸 ジェイルは刑が確定するまで収容される場所なので、軽い罪から殺人のような凶悪犯罪者までいろいろな人がいます。
そのなかに、頭が良くて才能に溢れている人もたくさんいました。収監中に支給されたものでお酒やお菓子、ケーキを作る人もいたし、絵や歌がうまい人もゴロゴロいた。
刑務所の壁に芸術作品みたいな壁画がたくさん描かれているんですけど、それは囚人が描いた絵なんです。こんなに才能があるのに、環境次第でこうやって道を外れてしまうのか、と驚きましたね。
刑務所では、スクワットや腕立て伏せなどの自重トレーニングをして過ごした
――周りの囚人も、山岸さんの身体に驚いていたのでは?
山岸 驚いていたかはわかりませんが、舐められないように「俺はヤバイ人だ」という雰囲気を出すようにしてましたね。最初の頃は誰とも話さないようにしていました。
でも、1か月くらい経つと、だんだん自分がベテランになってくるんですよ。入れ替わりが激しいので。だから、刑務官の人とも顔見知りになるし、だんだん環境に慣れていくことへの怖さを感じながら過ごしてましたね。
――スーパーマックスジェイルでは何をして過ごしていたのですか。
山岸 500番台になったあと、「トラスティ」と呼ばれる模範囚に指名してもらったので、夜は刑務官たちの仕事の手伝いをしていました。掃除したり、キッチンで働いたり。普段はいわゆる「臭い飯」を食べていましたが、仕事をするときは刑務官と同じ食事をとることができましたね。
昼間は何もすることがないので、ひたすらスクワットや腕立て伏せなどの自重トレーニングをやって。2月に開催される大会に出ようと思っていたので、なるべく体重を落とさないようにしていたんですけど、収監されている間に9キロほど落ちてしまいました。

