2022年に現役引退→2023年に現役復帰→「マスターズ・オリンピア」で日本人初の優勝

――引退はいつ頃から考え始めたのでしょうか。

山岸 「いつでも引退できるな」と思い始めたのは、2018年頃ですね。身体のピークが完全に過ぎているなと実感していたので。

 でもそれ以前から、引退を見据えてボディビル以外にも何かしたほうがいいな、というのは考えてました。それで2013年にボディ・カフェのビジネスを始めたんです。

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――2022年に引退を公表しますが、2023年に現役復帰を果たします。なぜ1年で復帰することになったのでしょうか。

山岸 2023年に、40歳以上が出場する「マスターズ・オリンピア」が始まって。自分的に出るつもりはなかったんですけど、周りの人に「1回目だから出てみたら」と言われたので、現役復帰しました。

 自分の中では「10位内に入ればいいか」という気持ちで出場して、勝とうという意識もなかったんですけど、優勝できたんです。

 自分より筋肉量の多い選手はゴロゴロいましたが、そのときはたまたま身体の仕上がりが良かったというか。運が良かったですね。

これから筋肉が増えることはないので…

――マスターズとはいえ、日本人初のオリンピア優勝。驚きましたか?

山岸 うれしかったし、驚きましたね。引退したあとはボディビルの優先順位が1位じゃなくなって、ジムの経営などの仕事をしながらだったので、そういう状況でもコンテストに出て、しかも優勝できるのかと。

 あとは、引退したあとも常に体脂肪が少ない状態を維持していたので、コンテストに向けた体作りが苦じゃなかったんです。これなら、「生涯スポーツ」的な感じで今後もできるなと思いました。

 ただ、自分は選手として終わっていることは間違いない。これから筋肉が増えることはないので、今の状態を維持できれば御の字ですね。

――2024年11月には、ボディビルダー・横川尚隆さんのコーチを務めると発表されました。

山岸 彼がアメリカに来て戦いたいとのことなので、そのアドバイザー的な立場です。彼には彼の方法論があるので、私がマンツーマンでトレーニングすることはないですね。もちろん、助けを必要としていればアドバイスしますけど。

――横川さんは「ミスター・オリンピア」を目指すと宣言されていましたね。

山岸 本人次第ですけど、彼ならオリンピアで優勝できると思っています。それは本人にも伝えているので。

 

撮影=松本輝一/文藝春秋

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