MLBデビュー以降、もっとも遅い本塁打
一方、周辺では連日、水原元通訳の違法賭博、不正送金の報道が過熱していく。大谷自身も「ショックという言葉が正しいとは思わない。うまく言葉では表せないような感覚」とコメントするなど、シーズンを戦いながら戸惑いを感じていることをうかがわせた。
迎えた4月3日、本拠地7連戦最終戦の対サンフランシスコ・ジャイアンツ。7回裏の第4打席、3ボール1ストライクから相手左腕テイラー・ロジャースが投じた5球目のシンカーを捉えた大谷の打球は、打球速度170キロで飛んでいき、右中間スタンドに突き刺さる移籍後初本塁打となる。開幕9試合、41打席目でのシーズン1号本塁打は、MLBデビュー以降、もっとも遅い本塁打だった。
「なかなか調子が上がってこなくて、焦る気持ちを我慢しながら自分のスイングをしようと努めてきた。1本出て良かったと思います。監督に自分らしくいればいいと言われて、気持ちが楽になった」と安堵の表情を見せた大谷。
「メンタルを言い訳にはしたくない。そこも含めて技術」
大谷にアドバイスを送ったロバーツ監督は、「ドジャー・スタジアムでの最初のホームランにファンも大喜びだし、彼も少し安心しただろう。新しいチームでいいスタートを切りたいと思うのは人間なら当然のこと。今夜は本当にいい一歩だった。グラウンドの中だけではなくグラウンドの外でも、逆境に立たされないとその人の本質は見えない。彼は動じない、自分のやるべき仕事とそうではない事を切り分けている」と、騒動の渦中にありながら結果を残した大谷を賞賛した。
試合後、大谷は「メンタルを言い訳にはしたくない。そこも含めて技術だと思っているし、そこを含めて自分がここまで結果が出ていないのは実力だと思う」とコメント。
試合前に捜査当局に協力するなど、一番大切にしている睡眠時間も削られ、本来ならばメンタルを言い訳にしてもいい状況の中、改めてしなやかで強い、まさに強靱な精神力を持っている事を再認識させられた。
ただ、この日のシーズン第1号本塁打が、前人未到の記録の最初の一歩になる事を、この時には誰も予期していなかった。
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