「1日も長く刑務所に入ってほしい」
A子さん:ありません。相手側の弁護人に「示談したい」と言われたけど、示談しませんでした。お金が欲しくて訴えたわけではないし、絶対に執行猶予を付けてほしくありません。
検察官:今、被告人に対してどんな気持ちですか?
A子さん:被告人が膝の上で寝ている間、これからどうやって生きていこう、死にたいと考えていて、警察に行ってからも親や友人には言えず、1人で考えていて、とても苦しくて、信用していた上司や同僚が被告人の証人になってしまったことも辛いです。体の傷は治っても、心の傷は治らない。私が「やめてください」と何回も言ったのにやめてくれなくて、今も反省せずに私を責めるようなことを言ってきて、許せないです。1日も長く刑務所に入ってほしい。
懲役4年の実刑だったはずが…
一審判決で倉田に下されたのは懲役4年の実刑。その瞬間、倉田は身じろぎもせず、呆然と立ち尽くした。それと同時に職場の「懲戒解雇」も確定したからだ。
「会話の一部分のみを取り上げて同意があったとするのは失当。被害者は極めて力の弱い契約社員であり、被告人が仕事上優位な立場を利用し、わいせつな行為をしたのは明らかに認められる。そもそも企業コンプライアンスを認識して行動すべき立場であるのに、若い女性を終電近くまで飲みに連れ回し、助けを求めるのが困難な状況に陥らせ、卑劣かつ破廉恥極まりない犯行に及んだ。公判廷においても不合理な弁解に終始し、真摯に反省しているとも認めがたい」
ところが、この事件にはまだ続きがある。倉田は控訴したが、取り調べを担当した警察官3人を偽証罪や証人威迫、虚偽有印公文書作成などの罪で告発したのだ。
