裁判で男が述べた「反省の弁」

 同業の商社でキャリアを積んできた男性は、培ってきたスキルを生かせると思い、転職を決めた。法廷では「久々の飲酒の機会だった」と釈明しつつ「お酒の量をセーブするのが社会人として当たり前だった」と反省を述べた。その上で、詳しい理由の説明がないまま一方的に突きつけられた内定取り消しに「憤りを抱いた」と語った。

 会社側の証人として証言台に立った支店長は、男性の採用面接にも同席していた。従業員20人弱の小さな事業所では、何より協調性が求められる。面接会場での男性の印象は「質問にテキパキ回答し、コミュニケーション能力が高い」。豊富な営業経験も後押しし、内定を迷わなかった。

 酒席での振る舞いを目の当たりにし「暗澹たる気持ちになった」。それでも自分が太鼓判を押した人物だ。途中までは「何とか一緒に働けないか」との気持ちもあった。

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 だが、何を言われても開き直る男性の態度に「もうかばう発言はできない。一緒には働けないな」との思いに至ったという。「面接ではおよそ知ることのできなかった言動を見て、募集していた人物像との齟齬は大きかった」