——しかも明かされる事実が、どれもまた非常に重みがあって。

比嘉 本当に毎回毎回、徐々に徐々にえぐられていくようでした。でも、視聴者の方々が楓と一緒になって、それこそ“森の中”に迷い込んでいくような感覚を体現できたのは新鮮でしたし、達成感もひとしおでした。あれだけエネルギーを使ったからこそ届けられたものがあったと思いますし、またひとつ、忘れられない役柄になりました。

感性に訴えかけるものを一切妥協せずに作っていきたい

——楓の目がとても好きでした。心が揺らぐような出来事が起きても、相手を真っ直ぐに見つめようとしていて。

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比嘉 えー、ちょっと泣きそうになる(笑)。ほんと、そうなんですよ。動揺するけど、最後はちゃんと見つめる。それは意識していました。とくにサスペンスでは、視線のわずかな動きひとつとっても「図星を突かれた」や「嘘をついている」など、そこに意味が生まれてしまうんです。しかも『フォレスト』はアップのカットが多いドラマで、瞳がとてもフォーカスされるので。

 登場人物の誰もが怪しく見えるなか……楓も終盤、ちょっと疑わしい瞬間がありましたが、彼女だけは視聴者を裏切らない、同じ目線の存在であり続けたかった。「信じたい」という思いを真っ直ぐな眼差しで表現しました。

©黄瀬麻以

——あと、岩田さん演じる一ノ瀬純との初デートでピクニックに行くシーンも印象的でした。純から手作りのかぼちゃの煮物をすすめられて、実はかぼちゃはそんなに得意じゃないけど「美味しい!」って無理して食べる時の顔がとても好きで。

比嘉 そう! 頑張って一口で頬ばってるの(笑)。

——食事シーンでは、比嘉さんが主演したドラマ『作りたい女と食べたい女』(つくたべ)を思い出しました。

比嘉 『フォレスト』の後半を撮ってくださったのは、『つくたべ』を監督した松嵜(由衣)さんなんですよ。お仕事を長く続けていると、こういうご褒美がありますよね。松嵜さんとの信頼関係もあって、『つくたべ』と同じく、本当にナチュラルな空気感のもとで楓を演じられました。

——自然でリアルな雰囲気だけれど、目が離せない緊迫感と予想を裏切る展開にも満ちていて。放送時は本当に次週が待ち遠しかったです。

比嘉 めちゃくちゃいろんな方にそう言っていただけました。やっぱり続編を見たいと、願ってくださるお声もありますし。でももし制作が決まったら、またメンタルを鍛えなきゃいけないな(笑)。