かつては資源量が心配され、枯渇化の危機に瀕したため大幅に漁獲枠が減らされた時期もあったが、そうした漁業者の我慢がマグロの資源を回復させていることが明らかになり、昨年、太平洋におけるクロマグロの漁獲枠の増枠が決定。日本の漁獲枠も2025年漁期から30キロ以上の大型魚で1.5倍に。小型魚は1.1倍に拡大されている。

漁業管理が奏功し、200~300キロもある漁師顔負けの巨大クロマグロをいとも簡単にヒットさせ、陸揚げする釣り人が季節を問わず全国各地に存在するようになったことから、今度はにわかに規制強化が叫ばれるようになってきた。

大物が釣れたら報告が義務化された

かつてはほかの魚同様に、マグロ釣りにも特段のルールはなかったのだが、2021年から新たなルールが設定された。

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遊漁の規制策については、国が設置し、漁業関係者や学識経験者によって構成される広域漁業調整委員会で協議することになっている。同委員会ではこの年、漁業と歩調を合わせるため、資源管理の上で重要な30キロ未満の小型魚を釣り禁止とし、「意図せずに採捕した場合は直ちに放流する」ことを義務付けたほか、大型魚については同年6月から1年間の上限を20トンと決定。釣って持ち帰る場合には採捕海域や重量などを記録し、同委員会の事務局である水産庁へ3日以内に報告してもらうこととした。

当時、同庁の担当者は、遊漁によるマグロの年間採捕量について「せいぜい10トンくらいではないか」と話していたが、2021年6月以降で実際に報告があっただけでも3カ月持たずに上限に到達。同年8月21日から翌2022年5月までマグロ釣りは禁止となってしまった。

細かく刻んで上限を設定してもすぐにオーバー

関係者が想定していたよりもマグロが遊漁でたくさん釣られていることがわかり、それ以降は年間上限を40トンに増設。1~3カ月の期間ごとに上限を決めていた。たとえば昨年なら4~5月の2カ月で5トン、6月は7トン、10~12月の3カ月で5トンなどと設定。ただ、このように細かく割り振っても、どの期間もほぼ1週間以内で上限に達してしまい、そのたびにマグロ釣りは禁じられた。