ちなみに、釣った魚を生かしたまま海で放すキャッチ&リリースはマグロ釣りでも行われる。「持ち帰るのは禁止でも、せめてキャッチ&リリースはやらせてほしい」といった釣り人からの要望もあったが、受け入れられなかった。放したマグロの生存確率が不明であることに加え、漁業者からすれば「禁止期間にマグロを釣っている」としか見られないため、持ち帰りと同様に扱われている。

こうした経緯から同委は、釣り団体代表らも含めた議論を踏まえ、マグロ釣りをもっと長い期間できるよう、冒頭の通りルールを変更した。上限の引き上げと同時に、期間ごとの配分は毎月等量の5トンへ。「毎月1匹まで」という制限に加え、これまでは「3日以内」だった水産庁への報告を「翌日まで」に短縮し、計量方法、陸揚げ地などのほか、「尾さ長」と呼ばれるマグロの体長がわかるような写真を添付することを義務付けた。

釣ったものを販売するのは禁じられているが…

はたしてルールの強化によって、マグロ釣りの秩序は保たれるのか。漁業でもマグロは豊漁となっている上に、釣りは実態が見えづらいことから疑問視する向きが多い。

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遊漁の採捕上限は、義務ではあるが、釣り人からの報告を基に積み上げる仕組みだ。失念は容易に考えられる上に、「そもそもペナルティが甘い」(釣り団体幹部)という指摘もある。

レジャーのマグロ釣りは漁業とは異なり、釣って持ち帰ることはOKだが販売は禁止されている。販売したり、釣り禁止期間に釣ったりしたことが通報などによって判明した場合には、1回目であれば、農林水産大臣によって同委の指示に従うよう命令が出される。そして今年3月までは、年度内に再度違反が発覚した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになっていた。

4月からはこの期間が「年度内」から「2年度内」に延長された。つまりこれまではイエローカードが出されても年度が変わればリセットされていたのが、今後は翌年度まで持ち越されることになったわけだ。水産庁は「違反の抑止効果になる」と期待している。