海外にも広がる闇バイトのネットワークに対し、日本の警察も手をこまねいているわけではない。

カンボジアを拠点にした複数の詐欺グループのリーダー的存在であったといわれる元関東連合の幹部、山口哲哉容疑者を逮捕しているほか、特殊詐欺犯罪に従事した被疑者を複数逮捕している。

また、ミャンマーの犯罪拠点で日本人を含む多数の外国人が特殊詐欺などの犯罪に加担させられていたとみられる問題では、国境を接しているタイ警察の幹部が日本を訪れて警察庁と協議し、詐欺組織の壊滅に向けて連携を強化していくことを確認している(NHK 2025年4月9日)。

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現時点でKK園区に日本人がいたかどうかについての報道はないが、いたとしても全く不思議ではない。日本の闇バイトとKK園区は間違いなく地続きにある。

闇バイトのリスクは、逮捕されると預貯金口座が開設できないどころではなくなっている。最悪の場合、生命すら奪われる地獄がSNSの世界の先にあることを肝に銘じてほしい。

廣末 登(ひろすえ・のぼる)
龍谷大学嘱託研究員、久留米大学非常勤講師(社会病理学)
博士(学術)。1970年福岡市生まれ。北九州市立大学社会システム研究科博士後期課程修了。専門は犯罪社会学。青少年の健全な社会化をサポートする家族社会や地域社会の整備が中心テーマ。現在、大学非常勤講師、日本キャリア開発協会のキャリアカウンセラーなどを務める傍ら、「人々の経験を書き残す者」として執筆活動を続けている。著書に『若者はなぜヤクザになったのか』(ハーベスト社)、『ヤクザになる理由』(新潮新書)、『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』(新潮文庫)『ヤクザと介護――暴力団離脱者たちの研究』(角川新書)など。
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