カズハの出身地が大阪であることも、韓国ファンにとってはアピールポイントだった。TWICEのサナやBilllieのツキなど、韓国で活躍する日本人アイドルを多く輩出した地域でもあるが、「大阪の人々に『パン』と銃を撃つ真似をすれば、みんな死んだふりをしてくれる」といった言説が浸透しているほど、韓国人にとって大阪は、「面白さ」の象徴として人気のある都市だ。

 そんな大阪出身者に対して韓国人が持っていたユーモラスなイメージを、カズハは裏切らなかったのだろう。その証拠に、一部の韓国ファンは彼女に「赤ちゃん大阪コメディエンヌ」というニックネームをつけた。

80年代風ルックがかわいすぎると話題に(LE SSERAFIM公式Xより)

 ドラマチックな経歴とミステリアスな外見、そしてしゃべるとギャップのある美少女。そんな、韓国のファンが愛してやまない要素をカズハはすべて持っているのだ。

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「『私の人生には常にバレエがある』と信じていた。しかし…」

 韓国メディアの取材に、彼女はデビューについてこう振り返っている。

「3歳からトウシューズを履いて、『私の人生には常にバレエがある』と信じていた。しかし、次第に『今後の私の人生にもバレエがあるだろうか?』という疑問を抱き始めた。そして、K-POPオーディションという人生の分かれ道を前に、果敢に『やってみよう!』と飛び込んだのだ」

事務所のオーディションには、留学先のオランダからBTSの「Dynamite」のダンス動画とバレエの動画を送ったという(LE SSERAFIM公式インスタグラムより)

 合格を知らせる電話を受ける時さえも「詐欺ではないか」と思ったというが、傍目から見ていても彼女のデビューまでの道のりは異例だった。

 デビュー後の彼女の姿のみを見ている人であれば「練習生期間もなくデビューし、大した努力もなしに人気を得た」と軽く言うかもしれない。しかし、カズハはこの道が決して順調ではなかったと反論する。2024年2月に「EASY」リリースした際には「私たちも見えないところでたくさん努力して悩んでいるという、舞台の裏のLE SSERAFIMの血、汗、涙を表現したアルバムです」と強い意思を示したのだった。

2024年、米国の音楽フェス「コーチェラ」のステージに立つLE SSERAFIM ©時事通信社

デビュー4年目を迎えるLE SSERAFIM

 LE SSERAFIMを「人生最後のアイドルグループ」と語り、たゆまぬ努力で逆風を追い風に変えてみせたサクラと、電光石火のデビューを果たし、著しい成長と多彩な魅力を見せるカズハ。 彼女たちの今後の活躍は、K-POP界にどのような新しい風を吹き込むのか。デビュー4年目を迎えるLE SSERAFIMはこれからどんな表情を見せるのか。楽しみに待ちたい。

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