5月2日、韓国の5人組ガールズグループ「LE SSERAFIM(ルセラフィム)」がデビュー3周年を迎えた。3月には5枚目となるミニアルバム「HOT」でカムバック*し、複数の音楽番組で1位を獲得。4月からは世界10都市を回る初のワールドツアーを行っており、その人気ぶりが窺える。
*カムバック=新曲を出すこと。また、リリースに合わせてメディアに集中的に露出する期間

LE SSERAFIM。(左から)キム・チェウォン、サクラ、カズハ、ホ・ユンジン、ホン・ウンチェ ©時事通信社

 LE SSERAFIMの日本での人気と認知度の高さは、群雄割拠のK-POPグループの中でもひときわ目立っている。3年連続でNHK紅白歌合戦に出場、今回のワールドツアーも日本は4都市で9公演という充実ぶりだ。

 その大きな要因といえるのが、宮脇咲良(韓国での活動名はサクラ。27歳)とカズハ(21歳)という日本人メンバーの活躍だろう。韓国の大衆文化評論家イ・テジュ氏は、2人への韓国での評価は大きく変わっていったと分析する。あらためて、その歩みを振り返る。(翻訳=金敬哲)

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(左から)LE SSERAFIMのカズハ、宮脇咲良 ©AFP=時事

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 LE SSERAFIMのメンバーであるサクラ(宮脇咲良)は、10年以上の芸歴と多数のファンを持つ「王道アイドル」として、デビュー当初から大衆を虜にしていたといえるだろう。しかし、彼女の韓国での評価は、その経歴とともにドラマチックに変化してきた。

「人気アイドルとは思えない」とも言われたが…サクラへの評価が変わるまで

 サクラは2011年にHKT48に加入し、その後2回にわたって韓国でデビューを果たした。最初は2018年に開かれたオーディション「PRODUCE 48」への参加だった。この時、彼女のダンススキルや歌唱力は韓国のアイドルファンから厳しい指摘を受けた。

「7年間人気アイドルとして活動をしたとは思えないレベルだ」

「いくら日本で人気だとしても、韓国での活動は難しいだろう」

宮脇咲良 ©時事通信社

 しかし、サクラの「アイドルとしての成長」にフォーカスが当たり始めると、状況は一変した。韓国の練習生にも引けを取らないパフォーマンスを見せ、最終順位2位という好成績でデビューを掴み取ったのだ。

 2018年10月、12人組グループの「IZ*ONE」として2度目のデビューを果たしたサクラは、K-POPアイドルとして大きな飛躍を遂げた。2年半という期間限定の活動ではあったものの、韓国と日本の両国でヒット曲を連発するほど大きな注目と人気を誇った。

12人組ガールズグループのIZ*ONE。下段中央が宮脇咲良  ©getty

「ペクポク」型キャラクターとして親しまれる

 IZ*ONEの活動終了後、サクラはHKT48を卒業し、BTSなどが所属する韓国の芸能事務所・HYBEに移籍する。これは、サクラにとっても、HYBEにとっても大きな冒険だった。一般の韓国の大衆には日本人メンバーに対する心理的な距離が、依然として残っていたからだ。