韓国で強い批判を受けたSNS投稿

 過去にはサクラのSNSの投稿が物議を醸したこともあった。韓国人にとって非常にセンシティブな事柄である8月15日(※日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」)に、「終戦記念日」とつづったことで、一部の韓国国民から強い批判を受けることとなってしまったのだ。

 韓国の大手芸能事務所は、練習生1人当たり年間で1億ウォン以上の育成費用がかかると言われる。まだ韓国内に残る反感を押し切ってまで、それほどの育成費用を投資する価値があるのかどうか。それを証明することが、サクラが直面したもう一つの壁だった。

デビュー当初は6人グループだった。左から、日本人メンバーのカズハ、キム・チェウォン、サクラ、元メンバーのキム・ガラム、ホン・ウンチェ、ホ・ユンジン(LE SSERAFIMのインスタグラムより)

 しかし、LE SSERAFIMの人気が高まるにつれ、サクラと韓国の大衆の間にあった心理的なハードルも少しずつ低くなっていった。ここには彼女がバラエティ番組でみせる活躍の影響も大きいだろう。

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 サクラは、「ぶりっ子が多い」という日本のアイドルに対する韓国人の偏見を見事に覆し、「팩폭(ペクポク)」(和訳は「ファクト暴力」=ファクトだけをストレートに話すことで痛快さを与えるという意味の造語。毒舌とは意味が少し違う)型キャラクターとして親しまれている。

宮脇咲良のインスタグラムより

 たとえば、韓国で人気のYouTubeチャンネル「ピシク大学」の番組「The Psick Show」に出演した際、サクラは共演者のうち1人だけがずっとしゃべり続けているのをみて、「気になることがあります。給料はみなさん同じ金額を受け取っているんですか? (それにしては1人だけに)負担が大きすぎませんか?」とストレートに発言し、笑いを誘った。飾らないサクラの姿は、視聴者の間でも「面白い!」と評判になったのだ。

カズハの驚異的な成長

 一方、LE SSERAFIMのもう一人の日本人メンバー、カズハの成長ぶりも目覚ましい。カズハは、バレエ留学中の2021年に、LE SSERAFIMメンバー選出のためのオーディションをオランダからオンラインで受けて合格した。

2022年5月、デビューイベントでのカズハ。当時17歳だった ©時事通信社

 3歳からクラシックバレエを習い、デビュー直前までオランダの名門バレエスクールに留学していたというカズハのプロフィールは、デビュー前から話題をさらった。韓国において、バレエは韓国舞踊と並んで高貴なイメージを持つ舞踊である。アイドル養成所ではないところでパフォーマンスを磨いたという彼女の経歴は、デビュー前から「従来のK-POPアイドルとは何かが違う」ことを予感させた。