手書きPOPに所狭しと豊富な商品が並ぶジャングルのような店内。店舗によって異なるユニークすぎる外観――「ドンキ」の愛称で親しまれ、今や「国民的ディスカウントストア」とも呼べるドン・キホーテ。そのド派手かつ人を楽しませる店舗デザインはどのようにして生まれているのか。『ドンキ式デザイン思考 セオリー「ド」外視の人を引き寄せる仕掛け』(二宮仁美著、イースト・プレス)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の1回目/2回目を読む/3回目を読む)
◆◆◆
沖縄初出店で「絶対に避けたかったこと」
浅草店と同様に、色濃く「地域性」を意識してデザインしたのは「MEGAドン・キホーテ宜野湾店」です。2012年の初出店時以前には、沖縄への出店実績がなく、宜野湾店が、沖縄への“初上陸〞を飾る旗揚げ店だったからです。
とりわけ避けたかったのは「本土から、自分たちの知らない企業が乗り込んできた」と受け取られ、ネガティブな印象を持たれてしまうシナリオでした。
店舗を作るからには、ずっと親しまれ、愛されるお店にしたい。そういう強い願いがあったからこそ、私にとっては絶対に成功させたい案件でもありました。
この時も、自分が沖縄に住んでいる方々になったつもりで「主語の転換」を試みました。そして、「どんなお店だったら、長く通いたくなるだろう?」という視点で、徹底的に考え抜きました。
そこで出した一つの結論が、沖縄の方々になじみ深い建材、オブジェ、モチーフをふんだんに取り入れることでした。外観には、沖縄の琉球赤瓦を取り入れ、屋根の部分には一対のシーサーを据えました。