「ドンキ」の愛称で親しまれ、今や「国民的ディスカウントストア」とも呼べるドン・キホーテ。中には、水槽が設置してあったり、30分に一度うなりながら煙を噴射する“巨顔”があったりと「買い物」以外でも楽しめる要素が詰まった店舗も数多く存在する。『ドンキ式デザイン思考 セオリー「ド」外視の人を引き寄せる仕掛け』(二宮仁美著、イースト・プレス)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の2回目/前回を読む続きを読む

『ドンキ式デザイン思考 セオリー「ド」外視の人を引き寄せる仕掛け』より転載、以下同

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「水槽があるドンキ」「水槽がないドンキ」の違い

 安田が「ビビビ!」と来た旗艦店には、店舗の入り口付近に水槽を設置するのが、ドンキの伝統になっています。

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 特大サイズの巨大水槽が鎮座しているのは「ドン・キホーテ梅田本店」のほか、「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」「ドン・キホーテ浅草店」「ドン・キホーテ中目黒本店」「MEGAドン・キホーテ大森山王店」などです。店舗によっては、迫力満点の大きなウツボやパラオに生息する珍しい熱帯魚が優雅に泳ぎ、水族館さながらの迫力があります。

 私たちが店舗前に巨大水槽を置くのは、水槽にお客さまの「気分の揺らぎ」をキャッチし、立ち止まらせる魅力があるからです。より機能的な説明をすれば、「たまり場」を作ったり、人々の「待ち合わせ場所」になるものだからです。

水槽は創業会長の安田氏が「ビビビ!」ときた店舗に設置している

 ビルなどの人工物が立ち並ぶ雑踏の中に、真っ青な巨大水槽があり、その中をビビッドな熱帯魚が優雅に泳いでいたら、「なんだろう?」とつい足を止めて見入ってしまうはずです。

 先ほどお伝えした通り、ドンキの場合には、最初から明確な来店動機があっていらっしゃるお客さまばかりではありません。

 暇つぶしがてら水槽を眺めていたら「お茶を買っておこう」「ストックが切れていたマスクを買おう」といったシチュエーションでお買い物をするお客さまが多いです。そんなシチュエーションの中で、気軽な気持ちで、お店に立ち寄っていただきたいと考えています。

 ドンキの水槽は、とてもわかりやすい目印なため、「あの水槽前に待ち合わせね!」などといった具合に、待ち合わせスポットになることもあります。いずれにせよ、水槽前が、街ゆく人々の「たまり場」となれば、一定の集客効果が期待できるものと考えています。だからこそ、私たちは水槽を置くのです。