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「一度見たら一生忘れない」大阪・梅田のドンキ
梅田本店では、店舗前を「たまり場」にするために、巨大水槽以外にも、待ち合わせの目印になるようなものをデザインしたいと考えていました。いわば、渋谷の「ハチ公」のような、一度見たら一生忘れられないようなインパクトのあるものです。
それは、刺激的でエキサイティングな梅田の街を歩く中で、おのずと生まれた課題でした。また、水槽の横に大きな壁面ができる予定がありました。私は、その壁が無機質にならないよう、デザインの力で解決する方法がないか、悶々と考えを巡らせました。そうした中で、ふと、カンボジアに海外旅行で行った時に見たアンコール・トムの像がリンクしました。
「アンコール・トムのような遺跡感のある造形物が都会の中にあったら、ものすごい違和感を生み出すはず……」
直感的に、奇想天外なアイデアが降ってきました。決して、都会にあるはずのないものを置いたらおもしろいに違いないと考え、水槽の隣に、石造風の顔を大きくあしらった壁面をデザインすることに決めたのです。
人の顔は、小さな赤ちゃんでも認識できるため、本能的に多くの人が見てくれるだろうという見立てもありました。決して“常識的〞ではない、型破りなアイデアでしたが、支社長に、想いを込めた手描きのイメージを見せたところ、「おもしろいね!」と気に入ってくれました。そのため、この奇抜なデザインで進めることになったのです。自分がおもしろいと思ったものは、無理だろうと思っても、ダメ元で一度は推してみるものです。