シーサーだけではなく「ガジュマルの樹」も

 シーサーの選定の際には、窯元へお邪魔して、サイズや表情を実際によく見て、外観に合うものを探しました。サッシの枠のカラーには通常のドンキ店舗で使われる赤色ではなく、首里城の赤に近い朱赤を使用。沖縄には、ドンキのことをよく知らない方もいると考え、限られた看板面積の中で、店名を覚えていただくことに専念しようと、ドンペンは前面に出さずに店名ロゴだけのサインに絞りました。 

窯元を訪問して選定したシーサーが屋根に鎮座している、MEGAドン・キホーテ宜野湾店(『ドンキ式デザイン思考 セオリー「ド」外視の人を引き寄せる仕掛け』より転載、以下同)

 さらに、店内には、長寿や幸福を運ぶ樹として、古くから沖縄の方々に愛され続けている「ガジュマルの樹」をFRP(繊維強化プラスチック)で作りました。そして、樹の下には、休憩スペースも作りました。

 現場のトップである当時の沖縄エリアの支社長には「買い場が広いからお客さまが迷子になってしまうのではないか? 店内の中央に大きな目印を作ることで自分がどこにいるかが、わかりやすくなるのでは?」という要望をもらいました。話を進めていくうちに、「ガジュマルの樹を作ってほしい!」ということになりました。

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店内にはガジュマルの樹もあり、休憩スペースになっている

 そこで、そのアイデアを具現化する意匠として、ガジュマルの樹をモチーフにすることを提案しました。造形にあたっては、隆々と四方八方に枝葉を広げ、生命感あふれる姿になるように作り込みました。

 このように、随所に沖縄の地域性が感じられる意匠をふんだんに盛り込んだ結果、オープン直後も歓迎ムードの中、順調なスタートを切ることができました。