のぶに妹が2人いるのも、その証拠といっていいのではないか。「花子とアン」と同じ設定にして、「花子とアン」の妹たちとは違った人生を歩ませる。その決意の第一歩が、蘭子をよくもてる女子にしたことだと思う。口数は少ないが芯は強く、色っぽい。河合さんの確かな演技力が、モテ女ぶりに説得力を与えている。のぶは嵩と結ばれることがわかっている。ここで豪を死なせたら、不運なかよ&ももの二の舞になってしまう。だから、豪は帰ってくる。

と結論したのだが、どうだろう。第7週のタイトルは「海と涙と私と」だ。涙? 何の? 「帰ってくるは5月12日現在の予想」と弱気に付け足し、豪の武運の話はここまで。「マイ・ベスト・あんぱん」の話をする。

“パン食い競争のシーン”に感動した

それは12話から13話、今でも思い出すとちょっと目頭が熱くなる。舞台はパン食い競争だ。11話でのぶは、参加の意志を表明する。が、出場はかなわない。女子不可の規則があるのかと尋ねるのぶに、祖父(吉田鋼太郎)は「規則も何も、当ったり前じゃろが」。12話は、のぶが嵩に「女子(おなご)はつまらん」と嘆くところから始まった。

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そして当日、パン食い競争参加者の登録ブースにのぶがいる。子どもも大人も(男子が)次々と登録しているところに、小さな女子がトコトコ近づいてくる。

今で言うなら小学校1、2年生くらい、ちょうちんブルマー姿で走る気満々。ブースで名前を書いていると、先生(男子)が「女子は出場できんぞ」と言う。女子がのぶに「そうなが?」と尋ねる。鉛筆を持ったままかたまっている女子の横で、のぶは先生と交渉するが、結論は変わらない。「ちょっと待っちょって」と女子に告げ、のぶはあんぱんを取りにいく。せめて食べさせてやりたかったのだが、あんぱんが足りない。やっと調達して戻ると、そこに女子はいなかった……。

「ヒロイン独り勝ち時代」の終焉

そこから嵩の、嵩らしい気弱な協力を得て、のぶはパン食い競争に出場、一着になった。