そして13話、「優勝、朝田のぶ」という宣言に続き、「のぶ、失格」と宣告される。そもそも女子に出場資格がないのだ、わかっていただろう。そう言われ、とぼとぼと歩き出すと、さっきの女子がいる。紅白の垂れ幕の横で、のぶを見ていたのだ。見つめ合う2人。女子が近づいてきて、にっと笑う。のぶもふふっと笑う。そして主題歌。

泣けた。「涙に用なんてない」という出だしを聞きながら、涙がこぼれた。シスターフッドだったから。のぶと少女の「にっ」と「ふふっ」は、世代を超えたシスターフッド、ヒロイン独り勝ち時代の終焉だった。

「ひよっこ」「虎に翼」にもあった“流れ”

ちょっと話がそれるが、ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ)を楽しく見ている。ヒロイン・千明(小泉今日子)は敏腕TVプロデューサー。テキパキと事を運び、大勢の女子たちを支え、引っ張る。そんな千明が第3話で、専業主婦の典子(飯島直子)としみじみ語り合った。

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「働く独身女と専業主婦の対立」のような話になった。あれこれ話した最後、千明がこう言っていた。「でもさ、専業主婦も働く女もちゃんと闘ってきたんじゃないかな。闘う場所が違っただけで」。対立なんかしてなかった、共闘してたんだ、別な場所で。千明はそういうことを言いたかったのだと理解した。

脚本は岡田惠和さん。朝ドラは3本書いている。3本目の「ひよっこ」(2017年度前期)は、振り返れば「独り勝ちでないヒロイン」を意識的に描いた最初の朝ドラ作品だったと思う。以後、心を奪われたドラマは「虎に翼」も含め、その流れだった。

その岡田さんが3度目の「最後から二番目の恋」で、千明にシスターフッドを語らせる。それを思えば、「花子とアン」のかよ&ももから「あんぱん」の蘭子への変化も当然だ。優秀だったり強かったり、そういう女性が勝っているだけでは世の中、変わらない。そのことをみんなわかっている。中園さんだってわかっている。