障がい者が学校でどんな扱いを受けるのか、それをリアルに理解できるのはやっぱり一番年が近い兄ちゃんだったから、そういう風に言ってくれたんだ。あの日以来初めて、兄ちゃんはまた俺のために泣いてくれた。

 父さんや兄ちゃんが言ってくれていることも、そのせいで責められて辛い思いをしている母さんの気持ちも、俺は痛いほど理解できた。だけど、どうすることもできなかった。

 あの時の俺に、一体何ができたんだろう。

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たまらなく恥ずかしかった「周りの目」

 学校のカリキュラムはガラッと変わった。皿を作ってそういう施設に売りに行ったりとか、学級の生徒だけでスキーに行ったりとか、普通の子たちが受けている授業は一切受けられなくなった。

 どうしても気になるのは、周りの目だ。学校の中ではもちろん、外に出ても俺たちはずっと“そういう目”で見続けられる。それがたまらなく恥ずかしかった。

写真はイメージ ©getty

 実際に通い始めて気づいたことだけど、特別学級の子たちも、自分たちが本当はどういう目で見られているのかは理解してるんだ。ワケも分からず、ただ毎日学校に来てるわけじゃないんだよ。きちんと会話ができる子もそうじゃない子も、「普通学級の人たちとは関わらないようにしよう」みたいな、暗黙の了解があった。

 気づいたことと言えばもうひとつあって、それは自分が圧倒的に特別学級の方が向いているということだった。普通がいい、人気者になりたい。口ではそう言うんだけどさ、内心、こっちの方が居心地が良かったんだ。自分に似た子たちが集まってるわけだから、当たり前かもしれないけどね。

 俺は“こっち側”の人間なんだ、って思い知らされてるみたいで、何とも言えない気分だった。

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