「あなたの知能は小学3年生で止まっている」――中1の夏に教師から衝撃的な言葉を言われた、ラッパーの札幌のギャグ男さん(28)。診断名は知的障害と、パニック障害。障害発覚後、彼の人生はどう変わっていったのか…? 新刊『普通じゃない:知能が小3で止まったぼくがラッパーをやっているわけ』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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検査結果は…
検査が終わったあと、母さんと昼ご飯を食べに行った。久しぶりの、2人きりのデートだった。
サッカー場が見えるテラス席で、きれいな芝生を見ながらロコモコ丼を食べた。正直、味なんかまったくしなかったよ。きっと母さんもそうだ。それでも、2人でカラ元気みたいにロコモコ丼の味を褒めまくった。そうでもしないと、おかしくなりそうだったんだ。
母さんも俺も、検査については何も言わなかった。でもお互いに、結果については予想がついていた。
俺がトイレに離れている間、母さんに電話があった。
「ハルキくんの知能に、障がいが見つかりました」
母さんはすぐに兄ちゃんに電話をかけて、検査結果を報告した。トイレから戻ってきた俺は、少し離れたところからその様子を写真に撮った。なんでそんなことしたかはわからない。たぶんパニック状態だったんだ。
声はほとんど聞こえなかったけど、母さんが何の話をしてるかはすぐにわかった。だって母さん、めちゃくちゃ泣いてたから。
診断名は、知的障害とパニック障害。
自分は障がい者なんだって、そのときはっきりと理解した。
「俺、特別学級に入るの?」
帰りの電車で、母さんにそう聞いた。
「ハルキ、もう背伸びしなくていいんだよ。楽に生きていいんだよ……」
母さんはそう言ったっきり、顔をそむけてしまった。