カウンセラーとして夫婦関係の再構築をサポートしている、九州在住の碧子さん(36)。かつては自身も夫のキャバクラ通いや不倫に悩み、離婚を切り出されるも拒否し続けた経験があるという。
「離婚したい」と言い残して出ていった夫を説得し、10ヶ月間の別居期間を経て再び彼と一緒に暮らすようになった碧子さんだったが、夫の様子がおかしい。「このまま夫婦生活を続けるのに違和感がある」と説明する夫に碧子さんも怒りを爆発させ、そのまま大喧嘩になってしまったという。
夫の気持ち、そして碧子さんの本当の気持ちとは? 家庭がうまくいかない理由のひとつは、幼少期に身につけた価値観にあった――。(全3回の3回目/最初から読む)
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「別居婚」
2021年1月の大喧嘩は、日付が変わるまで続いた。
ところが夫の一言で状況が一変する。
「また夫婦カウンセリングを受けに行かない? 俺はただ、将来に向かって、碧子ときちんと話ができるようになりたいんだ」
「ハッとしました。彼は私との関係を拒否しているのではなく、本当に私と向き合おうとしてくれているんだと気づいたのです。私はただ、『離婚』という最悪な一言に対峙したくなくて、私の方が彼に向き合っていなかったのかもしれません」
そう気づいた碧子さんは、「カウンセリング受けようって言ってくれて、ありがとう」という言葉が自然に口から出ていた。
2人はお互いの将来について、前向きな話ができるようになっていった。
将来の話のうちの1つが、「別居婚」だ。
父親が亡くなってからというもの、碧子さんは気落ちした母親が心配でならなかった。ちょうど勤めていた会社で将来のビジョンが描けなくなっていた碧子さんは、実家のある福岡に戻って転職することを決意。
夫に話してみると、
「いいじゃん!」
と即答された。
「この話をすることで、私はまた夫が『離婚』を持ち出すのではないかという不安を感じていました。でも心配無用でした。夫は私たちの将来について考えた上で応援してくれました」
夫は「福岡出張の時は、できる限り碧子の実家に泊まるようにする」と言ってくれた。
2021年2月。碧子さんは福岡の実家に移り、別居婚生活が始まった。