「ハラスメントの連鎖」は止められる

 やがて結婚した碧子さんは、自分の両親と同じような家庭を築いてしまった。「自慢の夫」と周囲に話し、当初は夫を尊敬していたが、結婚前に借金していた夫の金銭感覚のルーズさや、何度言っても片付けや掃除ができないことなどから、だんだん無意識に夫を見下すようになっていった。仕事などでストレスが溜まると、すぐにイライラして夫に「なんでできないの?」と詰め寄ったり、普段から「あれやって!」「これやって!」と命令口調で指図するようになり、まさに“家庭内ハラスメント”が横行する。碧子さんは、家出をするほど悩み、嫌っていた、自分の父親のようになってしまっていたのだ。

 しかし元夫が離婚を切り出したことがきっかけで、碧子さんは自分自身と深く向き合い始めた。

「祖母や母の影響で『離婚=不幸』の方程式に無意識に従っていた私は、自分の本音を探るとともに、その方程式が本当に正しいのかということを検証し続けました。具体的には、私はどのように生きていきたいのか。どういうパートナーと、どういうパートナーシップを築きたいのか。それは元夫が相手で叶えられることなのか……。そういったことを何年も繰り返し自分に問い続けるうちに、『誰かが私を幸せにしてくれる』生き方から、『自分を幸せにすることは自分にしかできない』生き方にシフトしていき、その結果、元夫との離婚を選択するに至りました」

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 自身の努力やカウンセラーのアドバイスなどから、自己肯定感を回復させた碧子さんは、ありのままの自分を受け入れ、好きになることができた。現在は、そんな自分で選んだ夫と本音で暮らしている。

画像はイメージ ©AFLO

「もちろん現在の夫と喧嘩になることはあります。お互い課題がありますが、大抵私の場合は、怒りを出し過ぎたり、相手を思い通りにコントロールしたくなったりという昔からの課題です。そんなとき、私も夫も再婚同士なので、『自分の課題のせいでまた離婚してしまうかも』という恐怖に襲われます。でも1度目の結婚ではできなかったことや後悔、残されている課題や傷、それら全てをクリアして、もっと幸せになるチャンスを与えられたのだと、前向きに考えるようにしています」

 自分を見つめ、分析できるようになった碧子さんは、今後も反省と改善を繰り返し、少しずつ自分の取り扱い説明書を作り上げていくのだろう。ハラスメントの連鎖を止めるには、自分の取り扱い説明書を作成し、日々更新し続けることが必要不可欠だ。

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