離婚を告げられた夫は「別れたくない」と拒絶したが、半年ほど協議を重ねた末、2023年3月に離婚が成立した。
祖母から続く影響
離婚後、碧子さんは新しいパートナーと出会い、2023年8月にプロポーズを受け、12月に再婚した。2024年5月に男の子を出産し、現在は初めての子育てに取り組んでいる。
元夫と離婚して約2年あまり。夫から離婚を切り出されてから約4年もの間、碧子さんは離婚を拒否してきた。元夫がキャバクラやデリヘルなどの風俗を頻繁に利用しても、独身と偽ってマッチングアプリや不倫をしても、頑なに離婚を拒絶してきたのはなぜだったのだろうか。
「離婚後に気づきましたが、おそらく私には同居していた父方の祖母の価値観が無意識に備わっており、『結婚生活は継続しなければならない』という考え方がとても強かったのです。理由は分かりませんが、祖母は結婚後、すぐに祖父とは別居状態になったようです。でも死ぬまで離婚は選びませんでした。祖母は母に『色々と複雑にしたくなかったのよ』と話しており、言葉の真意は想像するしかないのですが、母曰く、『戸籍を複雑にしたくなかったのであろう』ということでした。また、祖母からは『家系を大切にしなさい』という話を子どもの頃から聞かされていました。私が再婚して、生まれ育った家の姓を継ごうと思ったことも、祖母の影響が強いです」
それは、碧子さんの母親も同じだった。「THE九州男児」の父親は自分がルールで、気に入らないことがあると、すぐに声を荒らげたり物を壊したりした。身勝手な父から雑な扱いを受けてきた母親だったが、何があっても離婚だけは選ばなかった。
「『戸籍を複雑にしたくなかった』という祖母の気持ちは、母もすごく理解できると言っていました。父に対して相当な我慢をしていたと思いますが、母が最後まで結婚生活を守ったことも、やはり無意識ですが、私に強い影響を及ぼしていると思います。今振り返れば、そもそも元夫のお酒への逃げ癖や、私の怒りコミュニケーションという問題は、結婚前からあった問題なので、『離婚しても変わらない』と思っていたことも理由の一つです。自分が変わらない限り何も変わらないのであれば、『今は離婚という大きな決断をするべきではない』と思っていました」
