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2018/06/26

たまねぎの甘み、ごまの香りが広がる

 しばらくして、どんぶりが到着した。玉ねぎを大きめにカットしてじっくり揚げたかき揚げの上に、よく炒った白ごま、細切りの海苔がふわっとのっている。このかき揚げはかつて飯田橋にあった立ち食いそば「飯田橋」のかき揚げとよく似ていてなつかしい。

「冷やしてんぷらそば」380円

 ひとくち食べると玉ねぎの甘味、ごまの香りが口いっぱいに広がる。そして冷たいつゆが絶品だ。つゆは薄口醤油を使った透き通ったタイプで琥珀色。きりっと返しが利いていて、出汁も十分感じられるつゆである。そばは近隣の製麺所のゆで麺だが、十分コシもあり、つゆ・天ぷらとのバランスがよい。

 何か特徴的な食材をつかっているわけではないのだが、じんわりと旨さが伝わってくる。そしてまた食べに来たくなる味である。

ごまの香りがたまらない

駅前のこの光景が見られるのもあと少し

 このつゆはうどんでもうまそうだ。お店の娘さんに聞いてみると、大将は冷たいつゆにつけ天のような食べ方でうどんをまかないでよく食べているそうだ。埼玉県の出身というから、この琥珀色のつゆを完成させたのだろう。

 冬は「天玉そば」400円、夏は「冷やし天ぷらそば」380円、「冷やしたぬきそば」300円が人気だという。次回は「冷やしたぬきうどん」にするか悩むところだ。

 今の仮店舗も土地の整理などが済めば今より西の駅裏の方に移転する予定だという。

この光景ももうしばらくでなくなってしまう

 つまり、「なかむら」が駅前にぽつんと1店舗だけで営業できるのももうしばらくのことだという。駅前に幸せの白いのれんがみえる喜びもそんなに長くは続かないのだ。

 稲城長沼駅周辺には、つゆの旨い「一休」というスタンド系の大衆そば屋もある。紫陽花も綺麗なこの時期、そばと多摩川の散策もなかなかよい。

写真=坂崎仁紀

「なかむら」

住所 東京都稲城市東長沼536

営業時間 月~土・祝 7:00~17:00

定休日  日

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