同郷人が教皇になったとして喜んだのはアメリカ人、ペルー人だけではない。レオ14世が流暢なスペイン語を話すことから中南米諸国のスペイン語話者も教皇に強い親近感を抱いた。さらに“クレオール報道”により、アフリカ諸国やカリブ海諸国の黒人カトリック教徒にも大いなる驚きと喜びをもたらしたと伝えられている。

 レオ14世は教皇に選ばれたのち、公の場では冒頭のみ簡略に英語で話し、説教や祈りではイタリア語またはスペイン語に切り替えている。しかし教皇の英語はアメリカ英語であり、アメリカ人であればすぐに聞き分けることができる。さらにシカゴでの数々のエピソードが伝えられ、アメリカ人の親近度は一気に高まった。

シカゴニアンの間で高まる“レオ熱”

 教皇が過去にシカゴに帰郷した際にメジャーリーグ・ホワイトソックスのユニフォームを着て試合を観戦している写真、ピザ・レストランでの友人もしくは同僚たちとの集合写真などを見ると、「どこにでもいる普通のアメリカ人」といった出で立ちだ。

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 ゆえにアメリカ人、中でもシカゴニアン(シカゴ人)の“レオ熱”は高まり、早々に発売されたレオ14世のトレーディングカードは、スポーツ選手以外のカードとしては過去最高の売り上げとなった。教皇の仮装でホワイトソックスの試合を観戦するファンも現れた。シカゴのあるレストランは「神聖に味付けされたイタリアンビーフを使い、グレービーソースによって洗礼」された、「ザ・レオ」と名付けたサンドイッチを売り出している。

ホワイトソックスのX〔@CHSN_WhiteSox〕より

教皇との思い出を語る“2人の兄”

 レオ14世の“普通のアメリカ人”像をさらに押し上げたのが、教皇の2人の兄だ。どちらも多くのメディアに取材され、弟のロブ(=ロバートの愛称)が教皇となった驚きと喜びを繰り返し語った。しかし、2人の兄のキャラクターは対照的だった。

 真ん中の兄・ジョンは地元シカゴでカトリック系の学校の校長だった人物。穏やかな語り口で子ども時代の思い出や、教皇が幼い頃から聖職に就くことを自覚していたことなどを語った。また、これまでは毎日電話で話し、Wordleというオンラインの言語ゲームを一緒にやっていたが、今後は会うことがさらに難しくなるだろうと寂しそうな表情も見せた。