男たちの劣情に付け込んだ「売春詐欺」の手法とは

 車上荒らしは、近所の有名な心霊スポットで行った。夏の夜には、車を駐車場に停めて、大学生や会社員のカップルたちが幽霊の出ると言われる暗がりに出かけていた。一恵たちは原付で駐車場を回って、荷物が置きっぱなしになっている車を探した。

 ターゲットの車を見つけると、フロントガラスにタオルケットを押しつけてから金槌で割り、素早く車内の荷物を持って逃げる。駐車場には防犯カメラがなく、フロントガラスが割れる音もしないので、捕まることはなかった。

 売春詐欺の方は、流行っていた「出会い系サイト」を利用した。一恵が女子高生と称して嘘のプロフィールと写真を載せると、一晩で何百通という男性からのメールが届いた。一恵はその中からだましやすそうな会社員を選んで、駅前で待ち合わせ、近くのラブホテルへ入る。

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 彼女は「先にシャワーを浴びて来て」と言い、男性がバスルームにいる間に、財布を奪って逃げる。会社員たちは、買春をしている後ろめたさから、誰一人として警察に名乗り出る者はいなかった。