階段を登って改札を抜けると、“中央”を名乗る駅にふさわしい立派な駅舎が待っていた。そのすぐ脇、たぶん直下には阪和自動車道が通っているのであろう駅南側の一角には、大きなバスロータリーがある。
改札の前からエスカレーターを使って上に登ると、ロータリーを跨いで南側、また駅の北側と直結するペデストリアンデッキだ。
駅の北に出ればスーパーマーケットのコープや学習塾などが入った雑居ビル。バスロータリーを跨いで南に行けば、関西ではおなじみのスーパーチェーン・イズミヤの運営する商業施設「エコール・いずみ」。
これだけでもう、チェーン店から何から、ひととおりすべてがそろう町だということが実感できる。
さらにそれだけではなく、周囲にはいくつもの商業施設が目白押し。ヤマダにジョーシンという家電量販店が和泉中央線という大通りを挟んですぐ近くにあるし、MEGAドン・キホーテもその名の通り大きな店構え。
和泉中央線沿いを中心に、いわゆるロードサイドタイプ、広い駐車場を備えたチェーンの飲食店もずらりと並ぶ。駅の南側、エコール・いずみのさらに奥には大きなコンサートホールを持つ和泉シティプラザという文化施設まであった。駅の北西には自然の地形そのままにほどよい起伏に富んだ大きな公園も。
まったく至れり尽くせりというべきか、この和泉中央という駅に来たれば、日常生活に必要なあれこれはすべからく手に入る。そういう巨大な商業ターミナルだった。
どうして都心から離れたこの駅にこれほど“中央”っぽさがあるのか?
駅の周りを歩いてあちこちの店に入ったりなんだったり、別にこの町でなくても見かける店が多いのはそうなのだが、退屈しないことだけは間違いない。
さすが和泉“中央”駅なのだ。およそ廃墟の商業施設とはまったく無縁の明るい終着駅・和泉中央駅である。
それもそのはずで、千里中央駅が1970年の開業なのに対し、和泉中央駅は1995年にできた。歴史が四半世紀も違うのだ。






