――海外で活躍する日本人のグラビアモデルはあまり多くない?

紗世 そうですね。私自身、撮影の現場で日本の方にお会いしたことはこれまでありませんし、アジアの方では中国や韓国のモデルの方を時折見かけるくらいです。

 ただ一方で、「日本の文化はとても素晴らしい」と感じてくださる方は多く、「日本らしさを表現した写真を撮ってほしい」とリクエストをいただくこともあります。実際、『Harper’s BAZAAR』の撮影では、振袖を着用させていただいたこともありました。

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――ベトナム版『BAZAAR』や『GQ』のサウスアフリカ版など、本当にワールドワイドに活躍されていますよね。

紗世 ある現場で、「あなたが日本人であるというだけで、すでに十分にユニークなんだよ」と声をかけていただいたことがありました。

 その言葉に、はっとさせられました。“日本人であること”そのものが価値として受け入れられる場所があるのだと。

海外と日本とのグラビアにおける価値観の違い

――海外と日本とのグラビアにおける価値観の違いや、撮影で求められるものの違いはどんなところ?

紗世 日本ではどうしても「男性向けのコンテンツ」という印象が強くて、「男性の目にどう映るか」という視点が、グラビアの中心にあるように感じます。

 一方で海外では、モデル自身の内面や美意識、表現そのものを大切にしてくださる現場が多く、撮影そのものを“女性として楽しむ”といった場所でした。

 そもそも「グラビア」という言葉自体が、海外ではあまり一般的ではなくて。

――他の呼び名がある?

紗世 海外では、水着市場そのものが非常に大きいこともあり、「スイムウェアモデル」というジャンルがしっかりと確立されています。

 スイムウェアモデル専門の有名な雑誌も存在していて、そこでは年齢や体型にとらわれることなく、実に多様な方々がモデルとして登場しています。