――日本のグラビアは男性向けの性的なイメージが強いですが、海外では全然違うんですね。
紗世 全然違いました。
日本での感覚のまま撮影に臨んだ際、「使える写真がほとんどないから、そういう撮り方はやめてほしい」とはっきり言われたことがありました。つまり、水着を着ていても“セクシーさ”を前面に出すことは求められていなかったんですね。
表情の作り方や、雰囲気の演出も含めて、日本ではそれが「良し」とされるスタイルだったので、当時は本当に驚きました。
つい先日、海外版の『Forbes』の表紙撮影があったのですが、その際も「肌の露出は絶対にしないで」と、何度も念を押されました。
――どんな写真が選ばれやすいんですか?
紗世 日本のグラビア写真は、いわゆるバストアップや肌にぐっと寄ったカットなど、“女の子”そのものにフォーカスした写真が多い印象があります。
一方で海外の場合は、モデルが風景の一部のようにとらえられていて、たとえばプールサイドの写真なら、プール全体がしっかり写っていて、私はその景色の中に自然に溶け込んでいる、そんな構図が多いんです。
その人自身だけを主役にするのではなく、写真を通してひとつの世界観やライフスタイルのイメージを表現しているのだと感じます。
今まで反対していた母から「おめでとう」と言われ…
――海外の舞台で活躍するようになって、紗世さん自身もグラビアに対する考え方が変わった?
紗世 はい。日本で活動していた頃は、母から「お願いだから、そういう仕事はやめてほしい」と言われることもありましたし、自分の中にもどこか後ろめたさのような感情があって、心から誇りを持って取り組めていたとは言えませんでした。
でも、海外の雑誌で表紙を飾らせていただくようになったある日、母が初めて「おめでとう」と言ってくれたんです。その一言が本当に嬉しくて……。
その瞬間に、ようやく自分の仕事に対して自信を持つことができたような気がします。
――日本では結婚・出産するとグラビアアイドルを続けにくい雰囲気がありますが、海外ではどうですか。
紗世 海外のモデルの方々には、お子さんを連れて、ナチュラルに肌を見せているようなスタイルのお母さんもたくさんいらっしゃいます。ですので、「妻になったから」「母になったから」といってグラビアを続けられないという風潮はあまり感じませんね。
ただ、私自身は日本で暮らしていますので、いくら海外の媒体でモデルをしていても、「まだ脱いでるの?」というような見られ方をされてしまう場面もありました。 ですから、結婚を機に、今後はどういうイメージで活動していこうかと考えていた矢先に、子どもを授かりました。
写真=三宅史郎/文藝春秋
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