契約社員→営業部長になった女性も

 やはり山一時代の後輩で、神奈川県内でアルバイトをしていた女性には、東京都内の銀行を紹介した。「彼女は同期でトップの営業成績だった。金融の世界にカムバックしたらいいと思った」と永野さん。

 最初は契約社員として採用されたこの女性は、数年後に正規雇用に。みるみる昇進し、現在は営業部長になった。「契約社員を1人送り込むために、マーキュリーは付きっきりで面接指導をしてくれた」と語る。

 元山一社員を受け入れたある大手銀行の担当者は「元山一の人たちは勉強熱心で気さく。支店の営業マンだけではなく、お客さんにも愛されていた」と話した。

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 永野さんは2021年12月、社長を退き顧問になった。生み出した雇用は、元山一社員ら約500人を含め9541人。当初2人で始めた会社は、今は約60人となり、その4分の1は山一の元社員や家族だ。実は、野澤元社長も同年末まで取締役に名を連ねていた。「前を向いて頑張ろうとするのは立派ですよ」と、永野さんの姿勢を支持する。

 会社を起こす時に永野さんが肝に銘じたのが、「オープン」であること。