北川被告は2024年末に一転して「同意があると思った」と否認

2024年6月北川被告は逮捕され、7月に起訴。10月の初公判で北川被告は起訴内容を認めて謝罪したが、12月に突然、「同意があると思っていた」などと主張し、否認に転じている。このため裁判は争点や証拠を巡って膠着状態となり、次回の公判は未定のままだ。

しかし今回、ひかり氏が会見で話したのは、北川被告のことだけではない。同僚であり北川被告と親しい50代の女性の副検事からも、深刻な二次加害を受けた、と訴えている。この副検事は、ひかり氏と同じ部署、同じフロアで勤務していたが、北川事件の被害者が誰であるかということだけでなく、被害者を中傷する内容を広めていたなどとして、ひかり氏は2024年10月、副検事を告訴した。

ひかり氏がそうした職場の実態を知ったのが、その前月の2024年9月。ちょうどリハビリ的に職場への復帰を試みていた時期でもあった。それなのに職場の安全が全く確保されていなかったことを知り、「ショックで組織に絶望し」出勤できなくなった。誰も助けてくれないと感じ、北川被告の初公判があった10月、公益通報の形で記者会見を行い、初めて公に仔細を語った。

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大阪地検の女性の副検事が「二次加害」をしたという訴え

大阪高検の田中嘉寿子・元検事は「検察が、北川事件につき、彼女を『被害者』として尊重し、職場復帰できるよう配慮し、副検事を早期に分離し調査していれば、被害者が記者会見をする必要はなかった」と、会見の配布文書の中で指摘している。

このためひかり氏は副検事だけでなく、検察からも二次加害を受けた、と訴えている。だが結局今年3月、大阪高検は副検事を不起訴とし、被害者の名前を同僚複数に伝えたことなどが理由で、戒告処分をするにとどまった。

この処分の発表をする際、大阪高検幹部はひかり氏の代理人弁護士宛に次のようなメールを送っている。

「今回の処分結果は、飽くまで法と証拠に基づく判断であって、何か都合の悪いことを隠すために■■(注:黒塗り部分)に甘い対応をしているなどということは全くない」
「今後、■■(注:黒塗り部分)さんがそのような観点から外部発信をするようなことがあれば、検察職員でありながら、警告を受けたにも関わらず、その信用を貶める行為を繰り返しているとの評価をせざるを得なくなる」
「これは口止めや脅しではなく、当たり前のことを要請しているだけなので、口止めや脅しを受けたなどという発信も控えてもらいたい」