寝台特急ならではの「夜の時間」と「日の出」が最高すぎる!

 サンライズは瀬戸も出雲も食堂車や車内販売がない。飲料自販機はあるけど品数は少ない。ふだんから朝食を食べない習慣がある人も、万が一の到着遅延に備えて、飲み物や乾き物を用意しよう。東京駅21時50分発だと夕食は済ませている人も多いだろうが、車内で晩酌や夜食を楽しむためのグッズも買っておきたい。

夜食と飲み物の調達は忘れずに! (筆者撮影)
車内の自動販売機。選択肢は少ない(筆者撮影)

 寝台特急の旅の楽しさは、夜景を見ること、星空を見ること、そして朝の明るくなっていく街を眺めること。始発列車に乗っても見られるけれど、しっかり眠って、起きてから動かずに見られる景色がいい。すごくいい。

都会の夜景を眺めながら旅立つ(筆者撮影)

 朝の景色も見どころだ。下りサンライズ出雲の場合、8時50分頃の進行方向右側に注目だ。天気が良ければ伯耆大山を拝める。広い裾を持つ優美な姿が山陰に来たなと実感させてくれる。気の利いた車掌さんは車内放送で教えてくれる。

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伯耆大山が見えた(筆者撮影)

 米子を出ると、時々水辺が現れる。中でも宍道湖は夕日の名所。上りサンライズ出雲の宍道駅発車時刻は19時11分だから、暦を見ると5月下旬か7月下旬あたりは車窓から夕日を眺められる。

夕日の名所・宍道湖。サンライズ出雲の上りでは、5月下旬と7月下旬がオススメだ(筆者撮影)

 日の出はといえば、熱海駅を出た後、根府川駅付近の景色が見事だ。熱海駅の発車時刻は5時45分だから、こちらは3月上旬、10月中旬がオススメだ。「サンライズ」と名の付いた列車に乗るなら車窓から日の出を眺めたい。

せっかく「サンライズ」に乗るなら、日の出は必見(筆者撮影)

 下りサンライズ瀬戸の見どころは瀬戸大橋だ。窓の外を橋の骨組みが流れていく、その向こうに瀬戸内海の島々が見える。進行方向の左右どちらの景色も良い。四国に上陸すると、宇多津、坂出の街並みが出迎えてくれる。高松駅は行き止まり式のプラットホームで、旅の終着地にふさわしい雰囲気だ。

瀬戸大橋から瀬戸内海を望む(筆者撮影)

 上りのサンライズ瀬戸は瀬戸大橋へ向かう高架区間で、夜景を見渡せる。瀬戸大橋から見える島々に小さな灯りがあり、人々の暮らしに思いを寄せる。岡山から先はサンライズ出雲と同じ。ぐっすり眠って太平洋の日の出を待とう。

 こうした素晴らしい旅の時間を過ごせる寝台特急だが、かつての「ブルートレインブーム」は見る影もなくなってしまった。先日はカシオペアが引退すると発表があり、ついに定期運航するのはサンライズのみである。ではなぜ、多くの寝台特急の中でサンライズのみが生き残ったのか。後編では、その理由を解説していこう。

 

次の記事に続く 「新大阪」でも「広島」でも「博多」でもなく…終点が「出雲市」「高松」なのに、なぜ“寝台特急”の中で「サンライズ」だけ生き残ったのか

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