それもあって、サンライズ出雲は繁忙期に1往復増発される。東京駅を22時21分発、出雲市駅13時32分着だ。全区間を乗り通すと15時間11分の長旅になる。これは鉄道ファンにも人気の列車だ。乗り鉄は目的地に早く着くよりも、気に入った列車に長く乗りたいものなのだ。

 上りサンライズ出雲は出雲市駅を18時57分に発車して、岡山駅に22時31分着。ここで高松駅21時26分発のサンライズ瀬戸と連結する。姫路、三ノ宮、大阪に停まって、静岡駅に4時38分着。東京駅に7時8分に到着する。朝から活動するには早い時刻だけれど、これは通勤で混雑する時間帯を避けるためだ。

 ならば通勤時間帯を避けて9時台の到着にすると、会社や学校に間に合わない。7時台到着は日常生活に戻るための配慮でもある。もし何らかの事情で東京駅到着時刻が遅れると、サンライズ瀬戸とサンライズ出雲は通勤列車を優先させるため、小田原から貨物線に迂回して品川止まりになる。

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個室で寝られるサンライズ、車内はどんな感じ?

 個室の種類も多く、B寝台個室「ソロ」、B寝台個室「シングル」、シングル2段ベッドの2人用B寝台個室「シングルツイン」、ツインベッドの2人用B寝台個室「サンライズツイン」、1人用A寝台個室「シングルデラックス」がある。すべての部屋が暗号キーで施錠でき、部屋の広さとベッドの幅などで値段が異なっている。「シングルデラックス」がもっとも充実しており、大型デスクや洗面台を備えている。

 近年サンライズ出雲が女子旅に人気となった理由は、目的地の魅力に加えて、個室中心で安心なこと、とくにサンライズツインのツインベッドの存在が大きい。4~6人で旅するときも、それぞれの部屋で寝る前にサンライズツインに集まって女子会ができる。

 個室以外にも、カーペット敷きの「ノビノビ座席」がある。「座席」と言っても1人当たり1畳ぶんのスペースがあるだけ。頭の部分に左右の仕切りがあり、毛布が用意されている。

ノビノビ座席に乗るときはソロキャンプ用のエアーマットを持参した方がいいと思う(筆者撮影)

 ノビノビ座席は制度上「座席」扱いだから、乗車券と特急券で乗車できる。つまり、寝台料金がいらない。しかし女性専用車があるわけではないから、女性には勇気が必要で男性でも心もとない。それでも安価だから人気がある。