実は新幹線よりも飛行機よりも高い、のに売れる

 乗車券と料金を見ると、サンライズは個室寝台料金が加わるため、他の交通手段よりも割高だ。東京~高松間で比較するとサンライズ瀬戸の乗車券と特急料金の合計は2万1550円。「ノビノビ座席」はこの値段で乗れるが、個室を選ぶ場合は最も安い「ソロ」が6600円で、加算すると2万8150円だ。新幹線のぞみと快速マリンライナーを乗り継ぐ場合は2万4820円である。

 航空便は当日購入で4万2470円(JAL)で最も高いけれども、28日前予約の割引運賃は1万4000円台だ。旅行に行くならだいたい1カ月前には手配するだろうから、2万円以下の割引予約を利用するだろう。ダイナミックパッケージを利用すればおトク感はさらに増す。さらなる強敵として、高速バスの存在もある。座席の種類によるが、こちらは7000円前後だ。

 まとめると、東京~高松間の移動料金で、最も安い手段は高速バス、次に事前割引の航空機→サンライズ瀬戸(ノビノビ座席)→新幹線→サンライズ瀬戸(個室)→通常価格の航空機という順番となる。サンライズは他の交通手段と比べて安いわけではない。夜間に寝ながら移動できる特別な体験、出発日と到着日を有効に使える便利さ。そうした価値を認める人に人気がある。

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ベッドに寝そべって空を見上げたり(筆者撮影)
ふと目覚めたときの夜明の景色に感動したり(筆者撮影)

そろそろ新型車両の発表が待たれるところ

 大人気のサンライズだが、285系電車も1998年の製造から27年が経過し、3年後には車齢30年を迎え、車体の老朽化や引退を懸念する声もある。2014年から2016年にリニューアル工事で内装(木製パネル)の交換や和式トイレの洋式化を行ったので、内装材が15年持ちこたえるならば、あと数年は走ってくれそうな気がする。そもそも、これだけ人気があれば、新型車両に交換して運行継続となるはずだけれども、いまのところ去就に関する発表がないのは気がかりだ。

285系電車のロゴは日の出のイメージ

 Xのトレンドで「サンライズ」が出てくると、何か動きがあったのかとドキドキするけれど、たいていは『ガンダム』シリーズで有名なアニメ制作会社サンライズの話題でホッとする日々だ。「サンライズエクスプレス」が存続できるように、たくさんの人々に便利と楽しさを体験してもらいたい。乗り続けて人気を維持しよう。

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