この4月に封切られ、絶賛上映中の映画『花まんま』では、主人公の俊樹(鈴木亮平)とフミ子(有村架純)の兄妹を昔からよく知る駒子という人物を、ファーストサマーウイカが演じている。
駒子は原作となった朱川湊人の同名小説(2005年に直木賞を受賞)には出てこない映画オリジナルのキャラクターで、地元・大阪の下町で父親(オール阪神)とお好み焼き屋を切り盛りする面倒見のいい姐御肌の女性だ。劇中では、幼馴染みの俊樹と大阪弁でテンポよく会話するシーンもあって小気味いい。前田哲監督はこの役を、ぜひウイカに演じてほしいとオファーしたという。
前田監督は最初の衣裳合わせのときに「駒子や、駒子やんか」と言ってくれ、彼女も「こういう姉ちゃん、大阪におるわ」と思ってもらえるようなキャラクターでありたいと思い、撮影中は駒子として生きることに集中したとか(「映画チャンネル」2025年4月25日配信)。
ウイカの演技をきっかけに新たな物語が誕生
原作者の朱川氏も撮影を見学した際(お好み焼き屋のお客さん役でカメオ出演もしている)、ウイカのなりきりぶりに感嘆し、これにインスパイアされて『花まんま』のスピンオフ小説の一作「花のたましい」を執筆した。
《自分が産み出した人物ではないので、どんなものかと思っていたら、あまりにも自然に物語に溶け込んで、しかも重要な役割を果たしていたので、こりゃまいったな、と(笑)。あとは、もともと頭にあった小説の構想に駒子を落とし込むと、勝手にストーリーが動き始めました》と、朱川氏は同作を含む作品集『花のたましい』(文藝春秋、2025年)の刊行に際し明かしている(「本の話」2025年3月31日配信)。
初夏に生まれたことから“ウイカ”と命名
きょう6月4日は、「花のたましい」における駒子の誕生日であるとともに、ウイカ自身の誕生日で、35歳を迎えた。「ウイカ」は本名で、本来は漢字で「初夏」と書く。初夏に生まれたこととあわせ、両親の初めての子供という意味も込めての命名だという。
駒子にも通じるウイカのパブリックイメージは、関西弁でメイクも服装もド派手で、昔いかにもやんちゃしていたっぽい……となるだろうか。しかし、これは彼女がかつてアイドルグループの一員として活動していた頃から少しずつつくり上げていったイメージらしい。


