全裸になって墨を塗りたくり…“異端児”と呼ばれたアイドル時代
『ファンファーレ』への出演に続き、アイドルグループ・BiS(第1期)の新メンバーのオーディションを受けて、こちらも合格する。BiSには2013年5月に加入して翌年7月の解散まで在籍した。加入と同時に、芸名を本名の「初夏」から、いままでにない言葉をつくってネット検索で一番上に出てくるようにしようと「ファーストサマーウイカ」と改める。
BiSはマネージャーの渡辺淳之介のもと、「Fly」という曲のミュージックビデオを“殺されても死なないアイドル”のイメージからゴキブリを模した衣裳や動きで撮影したり、雑誌で全裸になって墨や絵の具を塗りたくり“人拓”を取ったりと、センセーショナルな活動で注目され、“暴走アイドル”“アイドル界の異端児”とも呼ばれた。
当時のインタビューを読むと、ウイカが友達と会う暇もないほどライブや練習などで時間を取られ、貯金も底をつきかけ、物心両面でギリギリの状態で活動していたことがうかがえる。それでも、BiSリーダーのプー・ルイを解散コンサートの会場として目指していた日本武道館(結果的に横浜アリーナに変更)へ連れて行くと加入時に誓った上、《自分が入ることによって何かが起きるだろうっていうことを期待して、信じてやってます》と語っていた(『Quick Japan』Vol.111、2013年12月)。のちにはこの時期を次のように顧みている。
アイドルになりたかったわけではなかった
《加入する時点で「来年解散するからね」と言われていたので、1年間の長期公演みたいな感覚でした。ずっとアイドルになりたかったかと聞かれるとそうじゃないし、純粋無垢なアイドルかと言われるとそうではないし。ただ歌ったり、踊ったり、ライブしたりが好きなので、アイドルを職業として捉えていました》(『W Magazine』2022年10月号)
BiSの解散後、2015年には渡辺とファッションデザイナーのNIGOの共同プロデュースにより音楽ユニット・BILLIE IDLEを結成。アイドルの枠組を飛び出して表現の幅を広げることができ、のちに《ずっとやっていたかったです。60歳くらいまでゆる~く歌って踊っていたかった》と語るほど(『AERA』2021年1月25日号)大切な居場所となったが、商業的な面で活動継続が厳しいとの運営側の判断により2019年に解散する。


