大河ドラマで大役に大抜擢

 ここ数年、俳優としてまさに「ウイカさんじゃないとダメなんだ」と言われて引き受けた役があいついでいる。先の『花まんま』の駒子もそうだが、昨年(2024年)のNHKの大河ドラマ『光る君へ』では清少納言に抜擢された。

『光る君へ』(NHK)で清少納言(役名はききょう)を演じた

 オファーされた当初は「紫式部が主役のドラマで清少納言役!?」と度肝を抜かれたが、清少納言の書いた『枕草子』や彼女にかかわる本を読んでいくうち、「考え方や表現の仕方が自分と非常に近い」と気づいたという。知れば知るほど感情移入し、おかげでプレッシャーなく演じられたようだ。

 放送中のインタビューでは、《大河ドラマの登場人物を演じて“自分のことみたい”って言う方、なかなかいないと思うんですけど。例えば“徳川家康、マジで自分そっくりです”とか(笑)。/最近、SNSでは“生まれ変わり”と言っていただくこともあり、“いやいや、言いすぎでしょう?”とも思わない、というか(笑)》とウイカ節も飛び出した(『週刊女性』2024年8月13日号)。

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ファーストサマーウイカのXより

 こうして彼女の発言を引用していると、自分の言葉を持っているとつくづく感じる。しかもいちいちキャッチーで、当人が「清少納言は自分みたい」と言ったのもけっして過言ではないと思わせる。ビジネス誌の取材に応えたときには、長期的な目標は立てられないので、「こんな映画に出たい」とか「あんな賞を取りたい」などといった近い目標を立てていると語ったあと、こう続けている。

『光る君へ』主演の吉高由里子(右)と(吉高由里子のXより)

積み上げた瞬間が常に「頂点」、次は「土台」にもなる

《具体的な目標を持って、一つひとつ積み木を積むような感覚です。キャリアはいきなり高くは積めないし、積み木はときどき崩れたりもするものですよね。それでも、積み上げた瞬間が常に「頂点」。そして次を積むときには「土台」にもなります。それを今日も明日も続けて、10年後、20年後に振り返ったとき、何が築けているかを楽しみにしたいですね》(『THE21』2023年9月号)

ファーストサマーウイカのインスタグラムより

 そのまま自己啓発本に出てきそうな表現ではないか。実際、ウイカはかつて「自己啓発本を書いて各地で講演して儲けたい」と語っていたこともあった。だが、むしろ彼女の経験と言葉をもってすれば、起業して他人や商品などをプロデュースしたほうがよっぽど稼げそうである。

 もちろん、俳優としても彼女に期待を募らせているのは筆者だけではないだろう。まずは、『花まんま』のスピンオフ小説である「花のたましい」が映像化された暁には、再び彼女が駒子を演じることを切に希望したい。

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