――ジェームスさんのこだわりポイントは?

鶴本 「髪。顔は調子が悪くても変えられないけど、髪は変えられるから」って。あと、「今日の髪形は100点満点」だとも言ってます(笑)。

「100点満点」の髪型

村の掟に「なんで?」が止まらなかった

――現在は結婚4年目ということですが、新婚当初にマサイ村で生活していた時は衝突が耐えなかったそうですね。

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鶴本 村の掟みたいなものが色々あるんですけど、そういうものにいちいち「なんで?」が止まらなくて。でも、彼からは「こういうものだから覚えてほしい」「これがマサイだから」しか説明がなかったんで、ずっとモヤモヤしていましたね。

――たとえばどんな掟にモヤモヤしましたか。

鶴本 本当に年配者を敬う部族なので、年上の言うことはとにかく絶対で。たとえば「こっちのやり方の方が効率がいいのに」と思っても、年上の前では絶対にそれを言えないというか、でしゃばっちゃいけないんですよね。

 あとはやっぱり男女の立ち位置がまったく違うので、「どういう理由でこの掟があるの?」って、ずっとモヤモヤしてました。

――「男女の立ち位置の違い」とは?

鶴本 端的に言うと、男尊女卑的なんです。マサイの主食は牛なんですけど、マサイ戦士たちは、一度でも女性が目にした牛の血や肉は食べてはいけないという掟があるんです。“穢れ”っていうんですかね。

 だから、儀式やお祭りがあっても、男性だけ奥の茂みに行ってキャンプみたいに牛を調理して、その残り物を女性や子どもが食べるんです。

 ただ、私は外国人だからその掟からは除外されて、マサイ戦士が調理をしているところも見させてもらったんですけど。

「トイレに行くね」と言っちゃいけない

――そうなると、生理の時も大変だったのでは。

鶴本 それこそ誰にも相談できなかったですね。ただ、一番近いマーケットにナプキンは売っていたので、皆に見えないところで使用済みの生理用品を燃やして処理しました。

 ただ、村の女の人は基本的に男の人が稼いできたお金で生活しているので、ナプキンが買えない時もあって、タオルとか草で代用しているみたいでした。

 そもそも、誰にも相談できなかったのも、「トイレに行くね」っていうのもマサイのマナー的に言っちゃいけないんです。