「グイグイいかない」結婚後の地域との付き合い方
――都心とは違い、郊外や田舎で暮らすとなると、おのずと地域との関わり合い方も変わってくると思います。佐藤さんはどういった距離感で、地域とお付き合いするようにしていったのですか?
佐藤 配慮とグイグイいかないことかな。私は芸能関係という派手な仕事をしていたので、マスコミに結婚を発表する際、夫の名前と乗馬クラブの名前を公表しました。というのも、検索されたりすると、かえって周りに迷惑をかけるし、関係ない人まで巻き込む可能性があります。
結婚後の地域との付き合いに関しても、内向的な方もいらっしゃいますから、お掃除してるときや外出時など、顔を合わせる機会のときにこちらから会釈をするなど、徐々に距離感を掴むようにしました。派手な世界のお嫁さんが来たと思われても不思議ではないですから、あまりこちらから「お願いしまーす!」っていかないようにして、普通のお嫁さんとして来ましたという雰囲気を作れるようにしたかったんですよね。
――程よい距離感というか、無理に詰めていかなかったと。
佐藤 私自身がどちらかというと内向的な人間なので、無理に装って、「よろしくお願いします!」みたいなテンションで接してもバレてしまうと思ったんですね。ですから、意識したのは、「誤解されないためにはどうしたらいいだろう」という考え方。スーパーに行くときもノーメイクで行くような人間ですから、そういう本来の私を段々と気づいてもらえたらうれしいなくらいの気持ちです。「本当に香取にいるんですね」なんて声を掛けられたら、「そうなんです。います。ははは」みたいな(笑)。
――「誤解されないためにどう振る舞うか」というのは金言です。移住先では、自分を理解してもらおうと前のめりになってしまう人も少なくないと思うのですが、あえて引き算で考えてみるというのは膝を打つ思いです。
佐藤 自分では気づかなかったんですけど、夫から「人に迷惑をかけるのが本当に嫌いだよね」って言われて、そうかもって。もともとその場所に暮らしている人たちのリズムを崩さないために、自分ができることを普通にやればいいというか。極端な話、市民一人が増えていました――みたいな自然な感じにしたかった。
