26歳のときに全身の毛が抜け落ちたインフルエンサーの葉月さん(46歳)。現在では脱毛症でも「キレイに」「明るく」生きるための工夫を発信する彼女だが、そこに至るまでには過食嘔吐やうつ病、引きこもりなど壮絶な人生があった。

 なぜ彼女は病気になってしまったのか? 多くの障害にぶつかり、ときにはドン底にまで落ち込みながらも幸せをつかめた理由とは?(全3回の1回目/つづきを読む

26歳のときに「脱毛症」にかかった葉月さん。外にでるときはウィッグを被って生活している ©末永裕樹/文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

ある日、「全身の毛が抜ける」病気に

――脱毛症とは、どのような病気なのでしょうか?

葉月 脱毛症の正式名称は「円形脱毛症」というみたいです。円形脱毛症と聞くと、いわゆる「10円ハゲ」のように、髪の毛が丸く抜けるものを想像されると思います。でも、実際には円形に限らず、生え際だけが抜ける人もいますし、症状の出方はいろいろです。私はその中でも一番重いタイプの「汎発性脱毛症」で、髪の毛だけでなく、まつ毛や眉毛、体の毛まで、全身の毛が抜けてしまうんです。

――今は全身に毛がない状態ですか?

葉月 はい。26歳のときに脱毛症を発症してからは、髪の毛だけでなく、眉毛もまつ毛もないです。いくつもの病院をまわって、さまざまな治療を試しましたが、髪が生えてくることはありませんでした。今はウィッグをつけて、眉やまつ毛はメイクで描いて生活しています。

――脱毛症には、原因があるんでしょうか?

葉月 自己免疫疾患といって、自分の免疫が自分自身の組織や細胞を攻撃してしまうことで起こる病気だということは分かっています。ただ、それを引き起こすきっかけについては、まだはっきりと解明されていないそうです。円形脱毛症と聞くと、ストレスが原因なんじゃないかと思う方も多いと思いますが、ストレスはあくまで、たくさんある要因のひとつにすぎないみたいです。

――幼少期はどのように過ごされていましたか?

葉月 とても厳しい母親のもとで育ちました。母親は専業主婦で、父親は内科医をしていました。「勉強しなさい」とか「医者になりなさい」と言われたことはなかったのですが、制限の多い生活でした。テレビを自由に見せてもらえなかったですし、門限がほかの子よりもかなり早く、遅れると母はいつも怖い顔をしました。それが恥ずかしくて、友達と遊ぶのも毎回苦痛でした。

10代の頃の彼女(写真提供:葉月さん)

――かなり厳しいご家庭で育ったんですね。