「流行歌も私だけ歌えない」

葉月 はい。遠足に行くとバスの中でみんなで流行の歌謡曲を歌いますよね。でも、私だけ歌えないんです。友達同士でドラマの話をしていても、話についていけないので、知っているふりをして一生懸命話を合わせていました。子ども心にとても傷ついたし、悲しかったです。自分だけが知らないことが多くてすごく恥ずかしくて、それを無理やり隠していたので、常に自分に自信が持てない状態でした。

――自分に自信がついたタイミングなどはありますか?

葉月 高校1年のときに、私は身重が高いので「モデルみたいだね!」と友達から褒められたことでダイエットを始めたんです。ところが、食欲がコントロールできなくなり、2年後には体重が10キロ太ってしまいました。あるときテレビで「吐けば痩せる」という情報を見てしまったんです。そこからダイエット中に嘔吐するようになって、身長170cm・50キロの体型になれたことで自分に自信が持てるようになった時期がありました。

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――かなり危険な痩せ方ですよね。

葉月 はい。吐き続けているうちに過食症を発症しました。パン一斤とか、家にある食材を手当たり次第に食べては吐く、というのを繰り返していました。ただ、その時は順調に痩せていることに満足していたし、忙しい生活を送っていたので、生活のバランスはとれていました。

――その後はどうなったのでしょうか?

葉月 ファッションの勉強がしたくて、19歳のときにニューヨークの大学に留学したのですが、過食症はどんどん酷くなっていきました。過食嘔吐をした後は、疲れて寝ちゃうんです。そうすると、そのまま起き上がれなくて、授業にも出なかったり、友達との約束もドタキャンしたりして、生活がたちゆかなくなっていきました。それにあわせて、うつ病も併発しました。とうとう何もできない、外にも出られない状態になって、なんとか日本に帰りました。22歳のときです。

20代の頃の彼女(写真提供:葉月さん)

――帰国できてよかったですね。