「確かに面白いですけど……」

 なぜ、生姜に凝っていて神社なのか。

「生姜は英語でginger(ジンジャー)。ジンジャーの神社というダジャレなのです」と徳久さんは笑う。ダジャレ好きなやなせさんらしい発想だ。

「神社神社って面白くない?」とやなせさん。

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「確かに面白いですけど、建物は小さくても管理が大変です。だから、お地蔵さんからにしたいんですけど」と徳久さん。

ごめん・なはり線「後免町駅」の前に、ごめん生姜地蔵や「ありがとう駅」の詩碑がある

「じゃあ、お地蔵さんのラフデザインを描いてあげるよ」。やなせさんはダジャレにこだわらなかった。

 届いた「ごめん生姜地蔵」のラフデザインには「コケシのようなシンプルなデザインにした。つくりやすい、いたみにくいということ。全身を生姜色にしたが着色でなくすることは可能だろうか? もし生姜色の石があれば顔も生姜色でもかまわない」と記してある。企業の宣伝部で働いたことがあるだけに、実現可能性が高く、実用的な案を出すあたりはさすがだ。

 地蔵の高さは60cm。「この部分の経費はやなせたかしが負担して寄附する」。台座には「心身健康 無病息災 交通安全 元気百倍」と刻むという指示があり、「この基礎部分は地元で負担できないだろうか?」と書かれている。「元気百倍」とはアンパンマンの台詞だ。

「ごめん生姜地蔵」の由来。「優しい心になれる町ごめん」などとある

 徳久さんは奉加帳を作り、浄財を集めて回った。

 こうしてやなせたかしロードとごめん生姜地蔵については、徳久さんがやなせさんに提案し、住民団体の「ごめん町まちづくり委員会(西村太利会長)」などが取り組む形で進んでいたが、広く知ってもらうにはどうすればいいか、徳久さんは頭をひねった。そこで2009年10月に迎える南国市制50周年の記念事業にしてはどうかと思いついた。

「記念事業になれば、マスコミが取り上げやすくなります。いくつかの工事の費用も市で持ってもらうことはできないかと考えました。当時の市長に相談すると、『ぜひそうして下さい』と言われました」

 徳久さんがそう考えたのには理由があった。