「550円の有料席は、むしろリーズナブル」
千房ホールディングス社長で大阪外食産業協会の会長も務める中井貫二氏は「外食パビリオンは1日平均で1万人が来場しており、非常に好調。フードコートに出店した企業は、いずれも黒字のところが多いのではないか」と話す。前評判の悪さから苦戦すると覚悟していたものの、想像をはるかに上回る集客があったと頬を緩める。
やはり大阪に来たからには大阪の食を楽しみたい、と考える来場者が多いのだろう。その意味では価格が高めでも、大阪の食文化に特化した各フードコートは成功しているようだ。
中井氏は「サスティナブルフードコートの550円の有料席も好評と聞いている」として、次のように続ける。
「ランチ時は非常に混雑しており、座る場所を確保するのも大変。列に並ばなくても注文できるファストパスの権利も付いているので、有料席はむしろリーズナブルではないか」
評価が低いまま開幕し、期待せず行った人が「思ったより良かった」とリピートしているのが現状だ。これから夏休みを含めた後半戦に向けて、フードコートの売り上げはますます伸びると、中井氏は期待している。
以上、大阪万博のフードコートについて見てきた。物議を醸した有料席は、アイドルタイムこそガラガラだが混雑時に確実に座れて休めることに加えて、行列に並ばずに注文できる利便性で、利用者からは「不満」よりも「好評」の声が多く聞こえてくる状況にあるようだ。この点で「成功」といえるだろう。
また、高額と話題になることも多いメニューでは和牛を扱っている店が多い印象を受けた。関西は「日本三大和牛」である神戸牛、松阪牛、近江牛の産地。海外から来る購買力のあるインバウンドに関西および大阪の食文化をアピールするには、和牛を活用するのが戦略としては確かに正解といえる。
いずれにせよ当初の下馬評を覆して人気を博しており、想定以上の盛り上がりを万博は見せている。
続く記事では、万博内に出店しているスシローとくら寿司の店舗を訪問するとともに、運営企業に取材しながら「メニュー開発の秘話」や「売れ筋の商品」について解説しています。ぜひ、合わせてお読みください。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。