大阪・関西万博(以下、大阪万博)では、ともに大阪出身の回転寿司大手で、業界を代表する「スシロー」と「くら寿司」が出店。連日、午前中のうちに当日の予約が埋まってしまうというほどの大変な人気となっている。
いずれも値段は通常店よりも高く、顧客単価は通常店の2倍近い3000円ほど。その分、大阪万博店でしか出していないスペシャルなメニューを売りにする。それぞれの企画を対比しつつ紹介してみよう。
「嫌われ者」のウニを上手に活用
スシローは、持続可能な寿司の在り方を提案する「未来型万博店」として出店。東西どちらのゲートからも15分ほど歩いた、「静けさの森」に隣接したゾーンにある。
漁業の未来を見据えて、天然魚ではなく養殖魚、特に先端技術を用いた陸上養殖や人工孵化の稚魚から育てた完全養殖の水産物を「あしたのサカナ」としてメインに据えているのが大きな特徴だ。そのため、海鮮ネタには全て養殖物を使っている。
中でもシンボリックな商品が「陸上育ちの磯まもりウニ包み」だ。高級食材のウニだが、海では「嫌われ者」。地球温暖化など海洋環境の変化で増えすぎたウニが、海藻を食べつくしてしまって魚たちの住処や餌場となる藻場が消滅する「磯焼け」が世界的に深刻化している。
漁師たちが海に潜って間引いても、獲ったウニは栄養不足のため身が入っておらず、売り物にならない。そこで、痩せているウニを陸上養殖して出荷する取り組みをしている企業と協力して、今回の商品を打ち出した。他にもあしたのサカナとしては当初「陸上育ちの琉大ミーバイ塩〆」「秘蔵っこ尾鷲のしまあじ」などを発表した。

