「ちょっと意外」な人気メニューとは?
インバウンドの利用などを見込み、食の禁忌を考慮して全商品で「ノーポーク・ノーラード」も実践しているのも特徴だ。豚骨を使わない「豚骨風ラーメン」や、プラントベースの寿司も話題を呼んだ。スシローとしては初めてグループ企業の人気メニューを提供する店舗なのも特徴といえる。「京樽」の「姫茶きん鮨」、「杉玉」の「飲めるサーモン」などを楽しめる。さらに大阪名物の串カツ盛り合わせが4種560円、かすうどん440円、コーヒー220円などは、万博会場の飲食店の中ではかなり安い部類な点も注目だ。
同店では寿司の画像がデジタル画面上のレーンを回っていく「デジロー」というシステムを導入している。寿司の画像をタッチして注文すると、専用レーンで握り立ての寿司を提供する仕組みだ。サステナビリティへの配慮や「おいしい」だけではなく、こうしたエンタメ要素も充実している。
デジローでは「ウニキャッチゲーム」なるものを、1時間毎に開催。時間になると、デジローの画面が一斉にゲームモードへ変わり、店員のアナウンスに従って、画面上に出現するウニを手でタッチして、捕獲した数を競うゲームが始まる。上位入賞の5人には、ハンカチなどの景品が出る。陸上育ちの磯まもりウニ包みに関するストーリーを楽しく学べ、店員によるとこのゲームを楽しみにリピートする人も多いのだとか。
広報によれば、通常店でも人気なまぐろに加え、ウニをはじめとするあしたのサカナシリーズが好評とのこと。京樽や杉玉のメニューも反響があり、ちょっと意外だ。通常店より全般に高額な設定とはいえ、珍しいメニューにゲームのエンターテインメントによって、消費者を納得させている。
くら寿司は、各国の大使館も巻き込みメニュー開発
くら寿司の万博店は、西ゲートからさらに西へ5分ほど歩いた野外ライブ・イベント会場「EXPOアリーナ Matsuri」の先にあり、蔵のような白壁の外観が印象的だ。外壁には、投棄による環境汚染が問題視されている貝殻約33.6万枚や、海藻から作る糊などを使用した「人工物不使用」の漆喰を採用している。レジカウンターなどは廃棄プラスチックを約100キロ再利用するなど、SDGsを強く意識した店舗だ。
店内はくら寿司として最多の338席、最長となる約135メートルの回転ベルトを導入した。最大の特徴は70におよぶ国と地域の代表的な料理を再現したメニューを提供していることだ。通常店舗でも1店舗につき1品ずつ提供しているが、万博店ではそれを一度に味わえる。
各国の料理は、「本物」を提供するため大使館にアドバイスを求めるなど、試作を重ねた。ボリビアのトマトチリソースを掛けたスパイシーなチキン「ピカンテデポジョ」は「故郷を思い起こさせる味」と高評価を受け、アイルランドのジャガイモを使った「ボクスティ」も大使や職員がおかわりするほど好評だったという。




